寅子は、女性にも弁護士への道が開かれる可能性が出てきたことから、法律専門の女子部を設立した明律大学に入学した。第6週(5月6日~)に至って、寅子と学友の女学生たちの人生に岐路が訪れる。しかも、高等試験が重なってくる。
脚本家の吉田恵里香が創造した多様な学友たちと、そのキャスティングがドラマの快調を支えていると思う。華族の桜川男爵の娘である涼子役に美貌の演技派の桜井ユキ、弁護士の妻にして子どもいる大庭梅子役に個性派の平岩紙。朝鮮からの留学生の崔香淑(チェ・ヒャンスク)にハ・ヨンス。カフェのバーテンを勤める男装の山田よね役に土居志央梨。
それぞれの人生の転換
崔は同居していた兄に共産主義者の疑いがかかり、先に朝鮮に戻った兄を追う覚悟を決める。彼女には学友たちに隠していたことがあった。
出版社に勤める兄の同僚の朝鮮人が共産主義者の疑いで逮捕され、崔も特高警察の調べを受けた。そのときはふたりともすぐに帰宅を許された。刑事の一言が崔を傷つけた。
「あんな難しい試験に受かると思っているのか? 試験を受けるのと、合格するのは違う。共産主義者の疑いがある兄がいるお前が合格するわけがない」と。
それでも、崔は甘味処に住み込みで働きながら、寅子たち勉強を続けているようにみえた。しかし、崔は試験をあきらめていて、仲間が合格するために判例を探したり、勉強のテーマを提案したりしていたのだった。
勉強会を邪魔するように店に特高の刑事がやってくる。「(崔の兄は)朝鮮で運動をしている。ここにかくまっているのではないか?(兄からの手紙があれば)みせろ!」と迫るのだった。刑事は崔から兄の手紙を奪うようにして、他の手掛かりがないので帰る。
男装のよねはいう。「朝鮮に帰るのはいまだぞ。いましかない」と。
寅子は突然言い出す。「海にいきませんか。楽しい気持ちになるために」
仲間たちと海にたどり着くと「はて?思っていたような場所とは違う」。「はて?わたしたちは思っているところとは違う方向に走ってきたのかも…」
崔はいう「結果としていい方向にいきます」と。