2024年9月29日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年6月26日

 豪州カーティン大学の教授は、ロシアと中国は戦闘協力に必要な通信システムの構築を進め、両国は航空機の最高速度などの機密データを共有し始めている」と言う。さらにロシアと中国の核搭載可能爆撃機が日本近海で合同哨戒飛行中に行っていると思われる作戦データの交換も、「緊密な戦略上の協力」を示唆していると付言した。

 中国国防省によれば、中露両国海軍は合同演習で専用の合同指揮統制システムを使用し、昨年から両軍の提督は人民解放軍の駆逐艦に乗って共同で海軍演習を指揮し始めた。

 最も重要な要素は、ロシアによるミサイル防衛早期警戒システムの技術移転である。中露両国がミサイル防衛システムを統合した場合、中国を攻撃する米国の大陸間弾道ミサイルはロシア上空を通過する必要があるため、ロシア国内の北部に設置されたセンサーによって、中国に早期警告を与えることができる。この共同早期警戒システムにより、中国は核攻撃の警告を受けてから核兵器を発射することもできる。これは、攻撃に対する報復としてのみ核兵器を使用するという中国の戦略からの転換を意味する。

 米シンクタンク教授は、中国が台湾をめぐって戦争をする場合、技術面以外でもロシアの中国への輸出の重要性は大幅に高まるとみている。ロシアからのエネルギー、食料、軍事物資の陸路輸送は、中国に対する米国の海上封鎖の影響を大幅に薄める上で役立つだろう。

 ロシアはおそらく中国とともに戦うことはないだろうが、ウクライナ戦争で中国がロシアに対して行っている支援と同様、米国の圧力に対抗できるよう政治的支援や経済的・軍事的資源を提供するだろうという。

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中露首脳会談でも見えた両国軍の協力関係

 この記事が配信された5月16日、習近平とプーチンは北京で会談し、会談後に戦略的パートナーシップに関する共同声明を発表した。その共同声明には、中露が合同軍事演習の規模拡大など軍事的協力を深める旨が盛り込まれた。


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