2024年5月16日付のフィナンシャル・タイムズ紙は、中国とロシアの軍事協力強化が西側諸国の脅威となり、特に台湾を巡る日本近海での軍事演習において連携が深まっていて、米国や同盟諸国は対策を検討している旨報じている。
過去2年間のウクライナ戦争において、中国の対ロシア支援や中露両国間の急速に深まる関係は、西側諸国の懸念事項である。しかし2週間前に米当局は、台湾周辺海域での中露の軍事協力関係を、もう1つの深刻な安全保障上の脅威だとして警鐘を鳴らしている。
ヘインズ米国家情報長官は、「中露が台湾に関し最初の合同演習を行っている。中国にとって間違いなくロシアの協力を得たい地域で、両国が協力しない理由はない」と述べた。
クルーズ米国防情報局長官も、「両国軍は間違いなく協力しており、米軍はその編成と作戦計画に関し対策を見直す必要があり、正にその見直し作業の最中だ」と述べた。
米軍幹部の発言は、今週北京で会談する中露両首脳の下で両軍の関係がどれほど深まってきたかを反映している。両国の軍事協力関係は、緊密な合同演習やミサイル防衛協力にまで発展してきている。
スタンフォード大学の教授は、中露軍事連携協力に関する研究会において、「戦闘において効果的であるためには、物理的に一緒に戦う必要はない」と述べた。中露両軍が過去20年間に実施してきた合同訓練は、2018年以降大幅に深化している。両軍は互いの戦略演習に参加し、定期的な海軍演習や戦略爆撃機の哨戒を一緒に行っている。
海軍と空軍の合同訓練のほとんどは日本近辺で行われており、専門家は両国の軍事的連携の強化を注視している。香田洋二元自衛艦隊司令官は、近刊書の中で、ロシアは「中国の対台湾軍事作戦に協力して、支援的な軍事行動を取る可能性があり」、日本は戦略的海峡を封鎖することによりロシア艦隊を日本海に封じ込める準備をすべきだと提言する。
両国の合同軍事演習の対象が台湾に関連することを示す証拠は、ロシアの黒海艦隊がウクライナの沿岸防衛ミサイルに砲撃された経験に基づき両軍が実施した空軍と海軍の合同演習「ノーザン・インタラクション2023」の中に散見できる。
台北の淡江大学の専門家は、台湾が米国から購入したハープーン沿岸防衛ミサイルと独自の対艦ミサイルを示しつつ、ウクライナ軍が海岸からロシアの軍艦を沈没させたことは、「陸から海を支配する」という教科書的な実例であると説明した。「これこそ正に、台湾侵攻において人民解放軍が直面する状況であり、このロシアの経験から学ぼうとしている」と言う。