2024年9月29日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年6月26日

 この共同声明からも、首脳同士の協力精神の下で、両国軍の協力関係は具体的に相当な水準にまで進んでいくだろうと推定される。この記事は、前半でそうした戦略的な協力関係の可能性を分析している研究者の見方を紹介しており、興味深い。

 特に、両軍はその情報を共有し、政治的立場で支援し合い、軍事演習では一緒に行動することはあっても、実際に戦闘行動が開始される段になれば、ウクライナ戦争が示す通り、一方が戦っているのを他方は政治外交的・経済的に支援するに留まり、共に戦場で戦うという段階にまでは進まないのではないかという評価は正鵠を得ているように感じる。

日本も警戒を高めなければならない

 それでも中露両軍の相互支援は、日本をはじめ西側民主主義諸国にとっては十分に脅威であり、その協力を念頭に置いておく必要があることは、この記事の警告を待つまでもない。

 モスクワはウクライナ正面での戦闘において、中国は将来の台湾対策において、それぞれ軍事的、経済的資源を確保しておく必要があり、それぞれ相手に提供できる資源には限界があろうが、政治外交上の必要性、経済資源の相互融通などに鑑み、協力関係を固めておく必要は今こそ高まっている。

 なお、今次首脳会談後の中国側の発表は、「相互尊重を根本とし」とか、核心的利益について「相互に支持」とか、互恵的協力・ウィンウィンを動力としてとか、両国関係が対等であることを強調する文字が躍っている。この辺りには中露間の協力について、北京がモスクワに対し抱いてきた長年の警戒感がなお顔を出していると感じられる。

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