2024年10月6日(日)

BBC News

2024年9月28日

米共和党の大統領候補、ドナルド・トランプ前大統領は27日、訪米中のウォロディミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領とニューヨークで会談し、ロシアがウクライナで続ける戦争を終わらせるべき時だと話した。

ニューヨークのトランプ・タワーで記者団を前に、ゼレンスキー氏と並んだトランプ候補は、「我々は双方としっかりやりとりをして、これを収めてまとめるように取り組む」と述べ、「(戦争は)終わらなくてはならない。いずれは終わらなくては。(ゼレンスキー氏は)地獄のような思いをしているし、彼の国も地獄のような経験をしている」のだと話した。

ゼレンスキー大統領はその場で、「ウクライナをいかに強化するか、我々の計画をすべて共有することが大事だ」としたうえで、「もちろんそれは今の時点で決めなくてはならない。というのも、11月以降がどうなるのか私たちにはわからないので。誰が大統領になるか決めるのは、アメリカ人だけだ。けれども11月まではプーチン(ロシア大統領)を自分たちでは止められないこともわかっている。でもそうしなくては。戦場では果敢な兵士たちが努力する。けれども11月以降は決断しなくてはならないと理解しているし、アメリカが強力でいてくれることを期待しているし、頼みにしている。だからこそ私は、両候補と会うことにした」のだと話した。

ゼレンスキー氏はさらに、自分とトランプ候補は「この戦争は終わらせなくてはならないし、プーチンには勝たせてはならないのだという認識で一致している」と話し、自分の「勝利計画」について詳細をトランプ候補に説明するつもりだと述べた。

トランプ候補は現在、各地の支援者集会でゼレンスキー氏を批判し続けている。そのため、ゼレンスキー氏の訪米中の会談は実現しないものと、数時間前まで思われていた。

そのうえでトランプ候補は、自分とゼレンスキー大統領の関係は非常に良好だと強調。さらに、「ご存知のようにプーチン大統領との関係もとても良いので、我々が(選挙に)勝てば、これはとても素早く解決することになると思う」と話した。

会談後には米FOXニュースに対して、トランプ候補は「とてもたくさん学んだ」と述べ、「二人ともこれが終わってほしいし、二人とも公平な取引がまとまることを望んでいる。終わるべきだし、(ゼレンスキー)大統領は終わりを望んでいる。プーチン大統領も絶対に終わりを望んでいるはずだと思うので、それは良い組み合わせだ」と話した。

ゼレンスキー氏は、「プーチンはあまりに大勢を殺した。なのでもちろん、この戦争をやめるよう彼に圧力をかけるためあらゆることをしなくてはならない。向こうが我々の領土にいるので」と話した。

ゼレンスキー氏がトランプ候補をウクライナに招くと、トランプ候補は「そうする」と答えた。

ゼレンスキー氏はこの後、ソーシャルメディア「テレグラム」に「とても意義深い会談」だったと書いた。

「ウクライナでの戦争は終わらせなくてはならないという、共通の認識がある。プーチンに勝たせてはならない。ウクライナ人が勝たなくてはならない」と、大統領は書いた。

他方、トランプ候補は自分の「トルース・ソーシャル」アカウントに、もし自分が大統領に選ばれないなら、「あの戦争は永遠に終わらない。そしていずれ第3次世界大戦に移行する」と書いた。

両氏のこれまでの関係は複雑で、トランプ候補は大統領だった2019年7月、ジョー・バイデン氏の家族について不利になる材料を掘り起こすようゼレンスキー氏に電話で圧力をかけたとされ、それを理由に同年末に連邦議会で弾劾された

2022年2月にロシアがウクライナ全面侵攻を開始して以来、トランプ候補はロシア政府側の言い分をしきりに繰り返してきた。今年9月10日に民主党候補のカマラ・ハリス副大統領と討論した際には、ウクライナに勝ってもらいたいのかという質問に明確に答えなかった。

トランプ候補はこのところアメリカのウクライナ援助について批判を強めており、アメリカをはじめ西側諸国に軍事援助を要求し続けるゼレンスキー氏を「地球上で最高のセールスマン」と呼ぶなどしていた。

それに対してゼレンスキー氏は最近、米誌ニューヨーカーに対して、トランプ候補は「本当は戦争をどう止めたらいいのかわかっていない」と思うと発言。共和党副大統領候補のJ・D・ヴァンス上院議員については、ウクライナが戦争終結のため領土の一部を手放すべきだと主張するなど、世界中で紛争を誘発することになり、「過激すぎて」「危険」だと批判していた。

ゼレンスキー氏は26日にはホワイトハウスで、バイデン大統領やハリス副大統領と会談。ロシアに外交的解決を受け入れさせるため、どう圧力をかけるかなど、自分の「勝利計画」について協議した。

これに先立ちバイデン大統領は、ウクライナへの79億ドル(約1兆1000億円)の軍事支援追加を発表した。

この間、ウクライナではロシアによるドローン攻撃が続いている。26日夜にはドナウ川沿いの港湾都市イズマイルで3人が殺害され、14人が負傷した。現地捜査当局によると、負傷者には3歳と13歳の少年、14歳の少女が含まれている。

ロシアは過去にもイズマイルの穀物輸出拠点を標的にしている。

ドナウ川を挟んで隣接するルーマニアの国防省は、イズマイル攻撃に使われたロシアのドローンがごく短時間、国境を越えてルーマニア領内に侵入していた可能性があると述べた。ルーマニアは北大西洋条約機構(NATO)加盟国。

(英語記事 Trump meets Zelensky and says it's time to end Russia's war

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c93y90q4gego


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