また、特定の食品を食べた後に運動することでアナフィラキシー症状が出ることもある。小麦などが原因となることが多く、運動によって消化管の吸収がよくなりアレルゲンの吸収が促進されることが原因と考えられている。
エピペンはためらわず打て
いずれのアレルギーでも、症状が出たときに素早く対応することが肝心だ。何かを食べた後、嘔吐や息が苦しい、ぐったりしている、意識朦朧、失禁などの症状があったら、アナフィラキシーを疑い、姿勢をあおむけに寝かせるなど安静にして救急車を待つのが望ましい。嘔吐があるときは吐しゃ物がのどに詰まらないように顔を横向きにする。
チヂミを食べて亡くなった女児はアナフィラキシーショックの症状を抑える自己注射薬「エピペン」を携帯していたが、女児が「打たないで」と言ったことから担任が打つのをためらい、処置が遅れたことも問題となった。エピペンは症状が出てからなるべく早い時間に打つ必要があり、命を守るためにもためらわずに打つ必要がある。
給食での死亡事故を受け、文部科学省は特定の職員だけでなく、だれもがエピペンの使用を含めた対応ができるように日頃から学校全体で取り組むよう通知を出している。ただ、名張市の認定こども園の事故ではアナフィラキシー発症後の対応が不十分だったことが報道されている。
学校給食での死亡事故は10年以上前のことだけに、若い教員では記憶にないかもしれない。幸い、米粉パンでのアナフィラキシー発症事例は大事に至らなかった。
これを機に、学校関係者は食物アレルギーについて正しく理解し、「注意しても事故は起こる」を前提とした危機管理に取り組んでほしい。