国産米粉の利用がコメの消費拡大につながるとして、国は米粉の利用を推進してきた。農林水産省によると、米粉用米の利用は17年度までは年間2万トン前後で推移してきたが、23年度は約5万トンと倍以上に増えている。
米粉の利用が増える中、誤食によるアレルギー事故を防ぐため、消費者庁は消費者に対して表示をよく確認するよう呼び掛けている。ただ、食べ物が原因でアレルギー症状が出る食物アレルギーは乳幼児で5~10%、学童期以降では1~3%とされ、アレルギーでない子供の方が圧倒的に多いため、なかなか理解が進まないのも事実である。
学校給食で死亡事故も
過去には学校給食で乳製品にアレルギーのある小学5年の女児が誤ってチーズ入りチヂミを食べ、アナフィラキシーショックで死亡したこともある。このときの給食では女児用にチーズが除去されたチヂミが用意されたが、女児がおかわり用のチヂミを食べたことで事故が起きた。
担任教諭が持っていた児童の除去食一覧表では、女児のおかわり欄に「×」印がついていたものの、担任は女児の求めに応じてチヂミを渡してしまった。女児自身も自分が乳製品のアレルギーであることを理解していたが、チヂミにチーズが使われているとは思わなかったようだ。
アレルギーの専門医は「普通はチヂミにチーズは入れない。この給食ではチヂミの生地に粉チーズが練り込まれていたが、普通は入れない食材を見えない形で入れることは誤食につながる」と指摘。除去食一覧表に「×」印がある女児に担任教諭がチーズ入りチヂミを渡したのはうっかりミスだが、こうしたヒューマンエラーが起きることを前提にした危機管理対策をとる必要性を説く。
これまで食物アレルギーがない人でも、突然アレルギー症状が出ることがある。とくに花粉症の人では、果物や野菜を食べたときに口の中がイガイガしたりのどや目がかゆくなったりする「口腔アレルギー症候群」が起こりやすいので要注意だ。
6月に山梨県富士吉田市で給食のビワを食べた児童・生徒126人にアレルギー症状が出て3人が救急搬送されたケースは同症候群が疑われている。同症候群は、花粉症の原因となるアレルゲンとリンゴやメロン、キウイなどの果物や野菜に含まれるアレルゲンの構造が似ているために起こるとされる。