2024年7月4日(木)

食の「危険」情報の真実

2024年7月2日

 米粉パンだから小麦粉は入ってない……そう思っていないだろうか。三重県名張市の認定こども園で5月、小麦アレルギーのある女児が米粉パンを食べて重いアレルギー症状のアナフィラキシーを起こし救急搬送された。

「米粉パン」と言っても、小麦粉が入っていない訳ではなく、確認が必要だ( Photography By Tonelson/gettyimages)

 園が原材料の確認を怠ったために起きた事故だが、これまでも同様の事故は何度も起きている。食物アレルギーは命にかかわることもあるだけに、うっかりミスではすまされない。

「米粉=小麦粉不使用」ではない

 「国産小麦と米粉のロール」。アナフィラキシーを発症した女児が食べた米粉パンは市販品で、商品のパッケージには小麦を使用していることを知らせる大きな表示があった。しかし、園の調理員は成分を確認しておらず、「米粉パンだから小麦アレルギーの子供が食べても大丈夫」と思い込んでいたことが地元の新聞やテレビの報道で伝えられている。

 小麦のアレルギー成分であるグルテンを含まないことから、かつては米粉は小麦粉の代替品として使われることが多かった。このため、米粉製品はすべて小麦粉不使用やグルテンフリーと思っている人は少なくない。

 実際、グルテンフリーライフ協会が2021年に実施したインターネット調査では、グルテンフリー食品としてイメージする食品のトップが米粉で、約6割が「米粉にはグルテンが含まれていない」と思っていた。しかし、米粉製品だから小麦が入っていないとはかぎらない。とくにパンの場合、グルテンを含まない米粉は膨らみが悪く、ふんわりとしたパンに仕上げるために小麦粉やグルテンを添加しているものは多い。

 消費者庁の事故情報データバンクに寄せられた米粉製品のアレルギー発症事例では、小麦が入っていないか店員に確認して購入したスコーンやドーナツに実際は小麦が使われていて、小麦アレルギーの子供が発症したケースが報告されている。詳細は記載されていないが、対応した店員が「米粉だから小麦粉は使われていない」と思い込んでいた可能性が高い。市販の米粉パンを食べての発症事例も複数あり、症状が出て初めて表示を確認して小麦が入っていることに気づいたというケースが多い。


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