バイオマスの可能性は?
火山の近くには高温の蒸気の溜まりがある。この蒸気を取り出し直接タービンを回すのが地熱発電だ。CO2を排出せず、安定的に発電ができる上、火山が多い日本には地熱の適地が多くあるが、適地の8割は開発が困難な国立公園内とされている。調査と設備への投資額が大きく、運転中に蒸気の噴出が止まる可能性、また近隣の温泉に影響するリスクもあり、すぐに多くの地熱設備が建設される状況ではない。
バイオマスは一般的にあまりなじみのない言葉かもしれないが、生物資源を指す。よく使われるのが、木質バイオマスと呼ばれる木片、ペレット(おがくずなどを固めたもの)を燃料とする発電だ。植物は成長の過程でCO2を吸収し炭素を体内に残し、酸素を排出する。木を燃やしても大気中から吸収したものを戻すだけなので、大気中のCO2は増えない。
生ごみ、動物の糞尿から天然ガスの主成分であるメタンガスを発生させ、ガスエンジンなどを利用し発電する方法もある。欧州では日本と異なり生ごみを焼却せず埋め立て処分することが多く、発生するメタンガスを利用し発電する。オーストリア、ドイツなどの欧州諸国では、地域の熱供給あるいは発電でバイオマスも広く利用されている。
日本では欧州よりも山地が急傾斜であることが多く、植林の際に間引きされる間伐材などを需要地に運ぶコストが高くなる問題がある。廃棄された建材を利用する際には建材に付着した塗料などが燃焼時にトラブルを引き起こす。欧州では鶏糞を木質バイオマスと混ぜ燃料とし発電しているが、バイオマスの利用では安定的に競争力のある燃料を調達することが課題だ。