2024年7月19日(金)

BBC News

2024年7月19日

ドナルド・トランプ前米大統領の銃撃事件で、容疑者の父親が13日の事件発生前に、息子についての懸念を警察に電話で伝えていたと、米メディアが18日に報じた。

この事件をめぐっては、発生前に警備当局がいくつかの危険信号を認識していたとみられることが、ここ数日で明らかになっている。当局の対応を問題視する声が高まっており、大統領警護隊(シークレットサービス)トップの辞任を求める議員もいる。

BBCが提携する米CBSが警察関係者の話として報じたところでは、トマス・マシュー・クルックス容疑者(20)の父親は息子について心配し、警察に電話を入れていたという。電話の内容や日時は不明だが、銃撃事件の前だったという。容疑者は前大統領に向けて発砲後、シークレットサービスの狙撃手に射殺された。

米FOXニュースによると、クルックス容疑者の両親は事件前に警察に、息子のことを「心配」していると話し、予告なく姿を消したことを伝えたという。

連邦捜査局(FBI)は、両親とも捜査に協力的だとしている。

警察関係者が米メディアに語ったところでは、容疑者がインターネットで検索した内容に、大うつ病性障害についてと、8月に予定されている民主党全国大会に関するものが含まれていた。

米紙ワシントン・ポストとAP通信によると、容疑者はトランプ前大統領やジョー・バイデン大統領、メリック・ガーランド司法長官、クリス・レイFBI長官、英王室の1人の画像を保存していたという。

犯行の動機や、政治信条が背景にあったのかについては、不明のままとなっている。この事件では聴衆の1人が死亡し、数人が負傷した。

屋根で警官と対面

CBSは匿名の当局者の話として、初期段階の捜査から、容疑者は建物の屋根に上る際、まず建物の隣に設置されているエアコン機器に上っていたことがわかったと報じた。

警察から今週、説明を受けた連邦議会議員らによると、銃撃事件発生の約20分前に、地元警察の狙撃手が距離計をのぞきこんでいる不審人物についてシークレットサービスに知らせていたという。

これに先立ち、事件発生の約1時間前に地元警察は、バックパックを背負った挙動不審なこの人物に気づいていたものの、群衆の中で見失った。そして、狙撃手が再び発見したという。

警官らは無線で不審者について連絡を受け、建物付近を捜索した。誰も見当たらなかったので、警官の1人が屋上を調べることにした。

地元当局がCBSに語ったところでは、警官が同僚の助けを借りて屋上に上がると、容疑者と対面し、銃器を向けられた。警官は「無防備」な状態で屋根から手を離し、地面に落下したという。

その警官は同僚らに容疑者について知らせ、間もなくして発砲が始まったという。

警察は群衆の中で容疑者を目撃したとき、銃器は目にしなかったという。当局は、なぜ誰も容疑者のARタイプのライフルを見かけなかったのか調べており、エアコンの近くに隠していたとする見方や、何らかの方法でバックパックの中に忍ばせていたとする説などを検討しているという。

当局は事件で使われた半自動小銃について、容疑者の父親が2013年に合法的に購入したものだとCBSに話した。

警察関係者らが米メディアに話したところでは、容疑者は発見時、遠隔起爆装置を持っていた。自家用車の中には爆発物があったという。

銃撃までの時系列

・午後5時11分ごろ: 地元警察がクルックス容疑者に気づき他の捜査当局に連絡するものの、行方を見失う(連邦議会議員団への警察説明より)

・午後5時45分: 警察の狙撃手が、集会会場近くの建物周辺で不審な行動をしている男性について、写真と共に報告。これが結果的に、クルックス容疑者だった(地元報道より)

・午後5時52分: シークレットサービスが、地上で距離計を持つ不審人物に気づく(議員団への説明内容を知る消息筋より)

・午後6時3分: トランプ前大統領が演説を開始

・午後6時9分ごろ: 前大統領の演台から約130メートル離れた建物の屋根の上にいるクルックス容疑者に、集会参加者たちが気づき、捜査当局に知らせようとする

・午後6時11分: クルックス容疑者が発砲。26秒後、シークレットサービスの狙撃手に射殺される

(英語記事 Father of Trump gunman called police about son before attack

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cz7ejg31d8po


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