2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2014年1月2日

 市場が自由化されれば、将来のエネルギー価格が分からないために新規の発電設備の収益率が不透明になり、結果、誰も投資を行わず、発電設備は減少していく。自由化で先行した英国は設備の減少に悩み、結局、ガス火力発電所を新設すれば、稼働率に関係なく一定の収入が得られる制度を導入した。さらに長期に稼働が必要なために不確実要素が増える原発については、発電量全てを政府が買い取る制度を新設した。

 オイルショックを誰も予想していなかったように、また、00年代初めの原油価格下落とその後の高騰が想定外であったように、化石燃料の世界を予測することは難しく、シナリオを書くことも無理だ。結局、40年前に得た教訓「できる限り多様化を進める」が最善の政策だ。そのために、国が将来のエネルギー供給の姿を示す必要がある。それなくして、民間企業がエネルギー分野に大規模投資を行うには限度がある。

 現在の化石燃料依存と中東依存を中長期に続けることの危険性は明らかだ。そうであれば、民間企業の分散への投資を促進するために、政権は責任を持ち早期にエネルギー供給の将来像を示す必要がある。また、エネルギー市場のあるべき姿も政権が示さなければならない。

 アジアの新興国の登場などにより、40年前より不確実性は大きく増している。いつまでもエネルギー政策を決めないリスクを政権は認識すべきだ。時間が経つほどリスクは大きくなる。現状で中東紛争が起これば、日本社会は耐えられないだろう。

◆WEDGE2014年1月号より










 

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