2024年7月29日(月)

インドから見た世界のリアル

2024年7月29日

日本が物量を得るためには

 では、この3つのポイントを日本に当てはめると、どうなるだろうか。日本では、昨年、自衛官の募集が約半分程度しか埋まらなかった。だから、優秀な人材を1人でも多くとりたいところではあるものの、深刻な問題に直面している。

 その中で、どうしたら10万人で300万人に匹敵する体制を整えることができるだろうか。自衛隊だけでなく、自衛隊外からもっと国防に協力し、国全体で取り組む態勢が必要なのはもちろんである。同時に、やはりAIなどの技術をつかって、少人数で、より多くの兵員、艦艇、航空機などを運用できる体制が求められてくるだろう。

 ただ、今、日本には、過去にはない強みもあるかもしれない。それは物量だ。新しい戦い方のアイデアをどこの国が思いつくか、わからないが、一旦アイデアが確立してくれば、物量が勝敗を分ける。第2次世界大戦で、その物量を導き出したのは、アメリカだ。今、日本はアメリカの同盟国である。さらに、アメリカの同盟国や同志国と日本が連携することが増えた。

 最近、日本にスペインとドイツ、フランスの戦闘機が来て、共同演習を実施した。ここ数年でイギリスも、オランダも、カナダも、韓国も、そしてインドも(インドについては陸海空軍すべて)、日本に軍隊を派遣して、共同演習をしている。日本と台湾の海上保安当局も共同演習を行った。今、日本には、大量生産が得意な同盟国アメリカと多くの同志国がいる。

 同盟国・同志国が多いことは、実際に、過去の対立で結果をもたらしてきた。第1次世界大戦も、第2次世界大戦も、米ソ冷戦も、勝った側は国の数が多い。第1次世界大戦は、勝った側は32カ国で、負けた側は4カ国である。第2次世界大戦は、勝った側が54カ国で、負けた側は8カ国である。米ソ冷戦は、勝った側は54カ国で、負けた側は26カ国である。

 これは何を意味しているか。国の数が多い側は、より多くの工場を保有し得る。それだけ、多くの物量を用意することができたことを意味している。

 今、日本に同盟国・同志国が多いことは、多くの国が共同で武器や軍事物資を生産する大規模な態勢が整えることができる可能性を示している。だから、日本は、より優秀な人材と、AIなどを利用した効率よい指揮系統を整えた上で、同盟国と同志国とともに、巨大な物量を用意する戦い方ができれば、次の時代の勝利者になることが可能だ、という結論になるのである。

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