2024年11月23日(土)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2024年7月30日

海外移住ブーム食い止めか?

 明文化されているものではないので、出国規制の対象者や範囲、理由などはわからない。だが、前述の知人いわく「できるだけ海外に行かせたくないという意図が働いていることは確か」だという。

 その背景にあると想像されるのは、コロナ禍以降、急速に増えている富裕層などの海外移住ブームだ。とくに、21年以降の「共同富裕」政策により、大手企業へのしめつけが強化された。

 教育面でも、習近平思想教育などが学校で実施されている。政府は富裕層だけでなく、それ以外の人々の動向にも目を光らせており、彼らが財産を海外に移すことを警戒している。

 最後に、知人は「これは、あくまでも私の想像ですが……」と前置きしつつ、次のように語ってくれた。

 「夏休みは家族で海外に行く人が多いですが、その際、子どものため、海外の学校を見学する機会もあると思います。海外で不動産物件を内覧したり、海外移住のための準備をしたりする人もいるでしょう。そういうことをできるだけ防ぎたい、というのも(パスポート取り上げの)一因かもしれません。

 コロナ禍が落ち着いたのだから、国内旅行に行き、国内で消費して、ということもあるのかもしれませんが、とても不可解だなと感じています。こうした動きがもっと広がることを心配しています」

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