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米首都ワシントンの連邦地裁は5日、米グーグルが競合他社を競争から排除し、オンライン検索と関連広告の独占状態を維持する目的で、違法行為をしたとする判決を出した。
この判決は、グーグルの親会社アルファベットにとって大打撃となる。また、テクノロジー大手各社のビジネスのあり方を規定し直すものとなりうる。
グーグルは2020年、オンライン検索市場の約9割を支配していることをめぐって、米司法省に提訴された。アメリカの反トラスト法(独占禁止法)の関連当局は、業界の競争を促すことを狙い、テクノロジー大手数社を相手に、これまでいくつかの訴訟を起こしている。
今回の訴訟は、グーグルと親会社に存亡の危機をもたらすともいわれている。
この日の判決では、グーグルとアルファベットに対する罰は明らかになっていない。今後の審理で、罰金やその他の措置が決定される。
政府は「構造的救済措置」を求めている。この措置は、少なくとも理論の上では、グーグルの分社化を意味する可能性がある。
連邦地裁のアミット・メタ判事は今回の判決で、グーグルはスマートフォンやブラウザで確実に初期設定の検索エンジンになるため、何十億ドルも支払ってきたと認定。
「グーグルは独占企業であり、独占を維持するため、独占企業として行動してきた」と、277ページに及ぶ意見書で書いた。
アルファベットは、控訴する方針を表明。声明で、「今回の判決は、グーグルが最高の検索エンジンを提供していると認めた。だが、それを簡単に利用できるようにすることは許されるべきではないと結論づけた」とした。
一方、司法省のメリック・ガーランド長官は、この判決を「アメリカ国民にとって歴史的な勝利」と称賛。「いかなる企業も、それがどんなに大きく影響力のある企業だろうと、法を超えるものではない」、「司法省は今後も反トラスト法を強力に執行していく」とする声明を出した。
反トラスト法関連の連邦当局はほかにも、フェイスブックを保有するメタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、アップル・インクなどのテクノロジー大手を相手に、違法な独占行為をしているとして訴訟を起こしている。
デフォルトの検索エンジンになる重要性
10週間にわたる審理の中で検察当局は、グーグルがアップル、サムスン電子、モジラなどに毎年何十億ドルも支払い、各プラットフォームの初期設定の検索エンジンとして、グーグルがあらかじめインストールされるようにしていると主張した。
当局はまた、グーグルがその特権的な立場を保つため、年間100億ドル以上を支払っていると主張。ユーザーデータを安定的に手に入れ、市場での支配力を維持してきたとした。そして、その結果、他の企業が意味のある競争をする機会や資源を得られなかったとした。
司法省は裁判で、「初期設定の重要性を示す最良の証言は、グーグルの小切手帳だ」とした。
グーグルにとって、検索エンジンは大きな収益源となっている。主に、検索結果ページに表示される広告によって、何十億ドルも得ている。
グーグルの弁護団は、ユーザーが同社の検索エンジンを使うのは、便利だからだと主張。グーグルはより良い検索エンジンにすべく、投資しているとした。今年開かれた最終弁論では、「グーグルが勝っているのは、他より良いからだ」とした。
弁護団はまた、裁判の中で、グーグルが激しい競争に直面していると主張。マイクロソフトのビング(Bing)のような一般的な検索エンジン企業だけでなく、レストランや航空券などを探す、より専門的なサイトやアプリとも競合しているとした。
メタ判事は今回の判決で、グーグルにとって初期設定の検索エンジンであることは「極めて貴重な不動産」だと結論づけた。
そして、「仮に、初期設定の契約満了時に、新規参入企業が品質面からデフォルト獲得を争える立場にあったとしても、競争ができるのは、パートナー企業に何十億ドルもの収益分配金を支払う用意がある場合のみだ」とした。
グーグルをめぐっては、広告技術に関する別の訴訟が9月に始まる予定となっている。一方、欧州では、グーグルは独占をめぐる裁判で数十億ドルの罰金を科されている。
(英語記事 Google's online search monopoly is illegal, US judge rules)