去る7月22日、全米最大規模のヒスパニック系米国人組織「UNIDOS US」がSNS「X(旧Twitter)」で、「すべてのヒスパニック宛」にハリス支援を呼びかけたところ、賛同者が殺到したという。
同月27日に、ニューヨーク・タイムズ紙が公表した世論調査によると、ヒスパニックのハリス支持はすでに60%を超えた。
女性、労働組合も続々と「支持」表明
さらに、白人女性層の間でもハリス支持は盛り上がりを見せている。
それを象徴するのが、去る7月25日、白人女性グループが急遽呼びかけたオンライン会議アプリ「Zoom」によるハリス支援緊急集会だった。
主催者側によると、「白人女性たちへ:ハリスのために決起を!」と題した会議では、開始から数時間内に全米から16万4000人がミーティングに殺到、今後のハリス氏の選挙戦に向けた政治献金も一夜にして850万ドルにも達した。途中、フィーバーが頂点に達し、オンラインのプラットフォームが数回にわたりパンク状態になるハプニングもあった。
同会議召集を提案したのは、白人母親の全国組織「Moms Demand Action」で、もともと各家庭のこどもの安全確保のため銃砲所持規制強化を求めて結成され、都市近郊の比較的裕福な多くの白人女性たちが中心となっている。
ブロック票が期待できる全国組織の各労組の間でも、ハリス支持のうねりが見られる。
全米最大労組として知られる「アメリカ労働総同盟・産業別組合会議」(AFL-CIO)は去る7月22日、いち早くリズ・シューラー委員長名でハリス支持の声明を発表。「カマラ・ハリス副大統領は就任初日から労働運動のために卓越した指導力を発揮してきた。彼女は労働者のための真の闘士であり、次期大統領になるにふさわしい人物」などと最大級の賛辞を贈った。
ハリス氏と永年の親交があることで知られる「アメリカ教員連盟」(AFT)のランディ・ワインガーテン委員長も、去る7月25日、全組合員宛にメッセージを送り「彼女は公立学校制度の誇るべき指導者であり、教育重視の大統領となるにふさわしい人物」だとして、支持を訴えた。
米国、カナダ、プエルトリコ合わせ40万人の現役組合員と58万人の退職者で構成される世界最大の自動車労組「全米自動車労組」(UAW)は、バイデン氏が選挙戦からの撤退を表明して以来、静観してきたが、民主党のハリス、ワルツ正副大統領コンビが確定したことを受けて、7日、ショーン・フェイン委員長が声明を発表。「わが国の今後の労働運動に希望をもたらすものだ」として、両氏への支持を公式に表明した。
このほか、地方公務員組織「全米州・郡・市公務員連盟」(AFSCME)、レストラン、ホテルなどの従業員組織「サービス従業員国際労組」(SEIU)などの大規模労組もハリス支持を決めている。
「Z世代」、白人からも
若年世代の態度にも変化が見られる。
とくに20歳代を中核とする「Z世代」(1997-2012年生まれ)は、これまで「バイデン(81歳)対トランプ(78歳)」の高齢者同士の今回の選挙に興ざめし、投票回避の傾向が指摘されてきた。
ところが、その後、バイデン氏に代わり比較的若手のハリス氏が急遽登場したことで、ムードが変わり始めている。とくに先月末以来、「Z世代」の間では、ハリス候補のシンボルマークにもなりつつあるグリーン色のヤシの木の「ミーム」が「TikTok」で爆発的に広がっており、気候変動、性的少数者(LGBT)、銃砲規制、経済公平性、人工中絶などの社会問題に理解を示すハリスへの投票呼びかけが続いている。