2024年8月23日(金)

一人暮らし、フリーランス 認知症「2025問題」に向き合う

2024年8月23日

身ぎれいにする重要性

  続いて、連載第21回で書いた「認知症の将来推計」の調査を担当した九州大学の二宮利治先生からも、認知機能をキープするためのヒントを教えていただいた。

『認知症の将来推計が大幅低下? 健康意識の高まりと生活習慣病コントロールに活路あり』

「年齢を重ねていく上で心がけたいと思うのは、他人から声をかけてもらえる人になるようにすることです。偏屈にならず、明るくにこにことしていると、いろんな人が声をかけやすくなりますし、何かあった時にも手を差し伸べてもらいやすくなります。

 さらに、内面のみならず外見に気を遣うのも大切だと思います。毎日髪を整える、清潔な服を身につける、スキンケアや化粧をする等は自分自身を気分よくさせてくれますし、出かけようという気持ちを後押ししてくれます。逆に言うと、出かけなくなると身だしなみに気を使わなくなりますので、出かける機会を作ると身ぎれいにしたくなるとも思います」

 まるほど。これらに関しては、何歳の人でも心当たりがあるだろう。

歯の健康を保つ

「また、歯の健康を保つことも大事です。歯の健康は、生活習慣病とも深く関係しています。たとえば、食事時間が不規則で歯磨きが不十分な人は生活習慣病になりやすいですし、生活習慣病は歯周病になるリスクを高めます。さらに、歯の健康が保てず噛む力が弱くなると、野菜や肉、魚などの食品を食べにくくなりますので、栄養やたんぱく質の摂取が不十分となります。そのため、若いうちから歯の健康を意識する習慣をつけるといいでしょう」

 他人から声をかけてもらえるように意識を持ち、対外的な態度や行動を見直す。そして外見をきれいに保ち、歯を大切にする習慣をつける――こうした「いつからでも始められる意識や行動」が、認知機能をキープする上でもとても大事なことだったのだ。

「どんな人でも、年齢を重ねれば認知機能は衰えます。認知症を完全に予防することは難しいですが、発症する時期を先延ばしにすることでしたら、できるかもしれません。できるかぎり発症を遅らせ、健康寿命を長くするよう、できることを今から、そして何歳からでも始めるといいと思います」

 簡単だと思える行動から習慣化していきたい。(続く)

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