2024年10月10日(木)

BBC News

2024年10月2日

韓国の警察は1日、厳重に警備された境界線を盗難バスで越えて北朝鮮に戻ろうとした脱北者の男性を拘束したと発表した。

この男性は、北朝鮮と韓国を隔てる統一大橋で捕まった。停車するよう求めた兵士を無視し、バスをバリケードに衝突させたという。

朝鮮半島が70年以上前に分断されて以来、北朝鮮から約3万4000人が韓国に亡命しているが、北朝鮮に戻ろうとする脱北者はまれだ。

韓国メディアによると、男性は30代で、韓国で困難を経験したため帰国したかったと警察に語ったという。男性は約10年前に北朝鮮を出国したとされる。

この男性は1日午前1時、韓国北部の京畿道坡州市の車庫からバスを盗み、30分後に捕まったという。

車庫の監視カメラの映像には、帽子をかぶった男性がバスの中に入り込む前に、何台かの車のドアを開けようとしている様子が映っていた。

事件当時、男性がアルコールや薬物の影響下にあったことは確認されていないという。

韓国紙「東亜日報」は、男性が坡州やその他の都市で日雇い労働者として働いていたとし、未払いの罰金が何件もたまっていると警察に話したと伝えた。

韓国の法律では、脱北者を含む国民が政府の許可なく境界線を越えて北朝鮮に行くことを禁じている。違反者は有罪となった場合、最長で10年の禁錮刑が科せられる。韓国にいる脱北者には自動的に同国の市民権が与えられる。

韓国は毎年1000人以上の脱北者を受け入れている。一方、脱北者の中で北朝鮮に帰還したのは、韓国の統一省によると、2012~2022年で31人しかいない。

韓国での生活が期待を下回ったとして、帰国する、あるいは帰国しようとする脱北者もいる。南北ハナ財団が1日に発表した調査報告によると、脱北者の平均月収は約230万ウォン(約25万円)だという。

また、家族に会うために北朝鮮に戻ろうとする脱北者もいる。

しかし、こうした帰還にはリスクが伴う。帰国者の中には投獄される人もいれば、北朝鮮に戻って厳しい再教育を受ける人もいる。

2022年1月には、30代の脱北者が1年間、韓国で生活した後に北朝鮮に戻った。韓国政府関係筋によると、この男性は韓国で「かろうじて生計を立てていた」状態で、韓国での再定住に苦労していたとされる。

(英語記事 Defector tries returning to North Korea on stolen bus 2 hours ago

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c9qvnr82q47o


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