2024年10月28日(月)

田部康喜のTV読本

2024年10月27日

 性加害事件を受けた「再発防止特別チーム」の23年8月29日の会見においても「ジャニー氏の性嗜好異常、パレフィリアが認められます」と。

ジャニーズ批判がタブーとなった時

 ジャニー喜多川氏の性加害をどこかで止めることはできなかったのか。

 週刊文春に先立って、性加害を記事の形で追及したのは週刊現代だった。元編集長の元木昌彦さんは、ジャニーズ事務所がメディアをコントロールできるのはないかと考えるようになった、端緒が同誌の報道ではなかったかと考えている。

 週刊現代は81年4月30日号で、ジャニーズJrのメンバーが、ジャニー喜多川氏に襲われたという記事を掲載した。取材にあたったのはのちにノンフィクション作家となる亡き朝倉喬司記者だった。元木さんは、メリー氏に対する朝倉さんの取材の様子について語る。

 「ジャニーの性加害について質問すると、メリーがいきなり椅子から立ち上がって『私はここですべて着ているモノを脱いで警察に電話するわよ。そうしたら間違いなくあなたはつかまる』」と。次の質問に移るにもなにも容赦のない拒否だったという。

メリー氏の対応がメディアの姿勢を変えていった側面もある

 出版元の講談社には、記事のあとに内容証明書はもちろんのこと、同社が出版している他の雑誌に所属タレントを出さない、とする内容も含まれていた。

 「週刊現代は、数多く出版している雑誌のひとつ。ほかの雑誌に所属タレントを出さないというというノウハウをつかんだのだろう」と、元木さんは振り返る。

 「あの時、なんとかできなかったのかと。タブーはメディアが作っていく。向こうが『僕たちはタブーなんだ』と言ったわけじゃなくて、さわるとこっちも傷を負うからというようなことがどんどんタブーを作っていく」と、元木さんはメディアの責任について言及している。

 ジャニーズ事務所ともちつもたれつの関係にあった、メディアはNHKに限らない。性加害事件について、本当の意味での説明責任を果たさなければならないメディアは多くある。

 今からでも遅くはない。この問題から逃げていると、新たな問題に絡めとられるのは間違いない。

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