解体 ロシア外交

2014年1月31日

»著者プロフィール

 ともあれ、年が明けても、北コーカサス各地で多くの暗殺や小規模のテロなど多く発生する中、厳戒態勢も強化され、1月7日からは治安当局の警備態勢が最高水準に引き上げられ、それはパラリンピック終了後の3月下旬まで継続される。ソチは事実上の閉鎖都市となっているのだ。

 そして、警察官だけでもソチの人口の約1割弱に相当する約3万7000人がロシア全土から動員され、これ以外にも軍やFSBなどが配備されている。同時に、ソチ市内に入る車両の通行規制も厳格化され、ソチで車両登録されていない車や、許可証のない車は入場できなくなった。そのため、ソチの住民の物資や食料が不足する問題も生じているという報道も流れている。当然ながら武器や弾薬、毒物の販売も禁止され、ソチへの全ての訪問客、観光客は、滞在先などの情報を当局へ届け出なければならない。五輪会場や駅、空港に入るためには、金属探知機の通過が義務づけられ、所持品検査も行なわれる他、五輪観戦にはチケットのほか名前や顔写真などの情報を五輪組織委に事前登録する「観戦者パスポート」の取得も必須とされている。

会場周辺は厳戒態勢(写真:AP/アフロ)

 また、ロシア当局は治安維持のために、人々にかつて恐れられた民兵組織である「コサック」も復活させた。

 加えて、上空からの脅威に備えるため、対空ミサイルシステムS300や、移動式の地対空ミサイル発射コンプレクス「パンツィリS1」約20基を展開している他、小型無人偵察機による偵察飛行のほか、海上は対破壊工作船「グラチョノク」4隻を配備し、警戒にあたっている。

 さらに1月23日には、五輪関係の車両が優先通行できる専用車線「五輪レーン」が運用を開始した。選手や関係者の移動をスムーズにするのが目的で、駅や空港の周辺、会場が集まる五輪公園へ向かう道路に白で五輪マークが塗装されている。7日から始められた許可証のない車の通行禁止との相乗効果が期待されている。

ロシアの「拡大」に抗議するグルジア

 他方、ロシアの厳戒態勢は隣国グルジアにも影響をもたらしている。グルジア外務省は、1月21日にロシアが、ソチ五輪の安全確保を理由に、1月20日から五輪とパラリンピックの閉幕後の3月21日まで、グルジア側、具体的にはアブハジア領内に11㎞食い込んだ地点まで、「国境地域」とする措置をとったとして、ロシアの違法な拡大に対する抗議の意を表明した。

関連記事

新着記事

»もっと見る