解体 ロシア外交

2014年1月31日

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 この間、11㎞アブハジア側に入った路上に、アブハジア出入国管理官らが常駐する検問所が設けられ、その「国境地域」に含まれる8つの村の住民は身分証明書を常時携帯することが義務付けられるという。国際法的にはグルジア領であるアブハジアはロシア及び数カ国から国家承認を受けているが、未承認国家にすぎず、事実上、ロシアの支配下にあると言ってよい。そしてそのアブハジアとソチの間は30㎞と両地域は極めて近いのである。なお、この臨時措置について、アブハジア側は認めているものの、ロシア側は明言を避けている。

 このように、様々なテロ対策を行なう一方、ロシア当局はテロの懸念を払拭すべく躍起になっている。たとえば、メドヴェージェフ首相は「脅威が別の場所での五輪よりも大きいということはない」と強調し、テロの脅威は五輪開催で高まったものではなく、テロとの戦いは日常的なものであるとした上で、ソチ五輪の平和的開催に対する自信を表明している。

 また、ペスコフ大統領報道官は「ソチ五輪の信用を政治的に失墜させようと、西側のいくつかの国が無礼かつ卑劣に振る舞っている」と述べ、欧米メディアの報道姿勢を批判している(1月23日付けのロシア紙『コムソモリスカヤ・プラウダ』)。つまり、西側が意図的にソチの危険性を煽っているというのだ。

まだ続くテロ予告

 だが、当局が色々と対策を練っても、テロに対する不安は一向に消えていない。

 2013年に最もテロ活動を活発に行なったとされるハサブユルト・ジャマーアトは最近、新たな資金を得て、テロリストのリクルートをしていると言われ、ハサブユルトは今後もホットスポットとなり続けることが予測されている。

 また、1月20日までにイスラーム武装勢力のメンバーと目される男2人がプーチン大統領に対しインターネットでソチ五輪でのテロ予告を行なった。男達は、「五輪を開催すれば、おまえや、五輪に来る観光客はプレゼントを受け取ることになる」などと述べた他、2013年末にボルゴグラードで発生した連続爆破テロに関与したとする犯行声明も発表した。彼らは年末のテロについて、「ロシア人の苦しみの単なる始まりだ」とし「全ての地域、町を血で覆ってみせる」などと警告し、今後、ロシアがコーカサス地方での武力組織の掃討作戦をやめない限り、化学兵器も使う用意があるとした。

 なお、年末のテロについては、2013年7月のウマロフ司令官のテロ五輪妨害の呼びかけに応じて実行したものだとしているが、実際の関与についての真偽は明らかではない。映像はロシア南部ダゲスタン共和国の組織とみられている「ビラヤト・ダゲスタン」が発表したが、男らが読み上げた犯行声明は破壊工作グループ「アンサール・スンナ」名で発表された。映像は約50分に及び、爆発物の製造過程や、爆発物を腕に巻き付けて起爆スイッチを押す様子も移されており、テロの準備の状況までも示された。

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