2024年11月22日(金)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2024年11月2日

 そうした賛成反対の論戦に加えて、実行が可能かどうかの統治能力の問題も、少数与党であれば野党との切磋琢磨となっていく。例えば、本稿の時点では自民党執行部は、国民民主の政策を「ほぼ丸呑み」する姿勢という報道がある。仮にそうであれば、小が大を呑むような政治力学が生まれ、そうなれば7月の参院選にも影響が出るであろう。

 その場合は、自民党の命運が本当に尽きるかもしれない。切磋琢磨の迫力を欠き、丸呑みに走るようでは国民の付託に応えることはできないからだ。

日本の政治に改革を

 例えば「ニューヨーク・タイムス」などは、今回の選挙結果を「カオス」だとして、安定していた日本の政治が流動化しているとして危機感を煽っている。また、米国の国務省筋には、日米安保における地位協定の問題が政治的論点になっていることに不快感を示す向きもあるようだ。しかし、そのような雑音は言わせておけばよく、外圧を恐れて政治を「小さくまとめる」ようでは最終的に民意は離反してゆくであろう。

 総選挙後30日以内に首班指名をせよという、憲法上の期限にはまだ時間がある。何よりも、数日後に迫った米大統領選の結果も日本の政局に影響を与えるのは間違いないであろう。

 その結果として、次の内閣としては思いがけない人物が、思いがけない政党の組み合わせによって担がれる可能性は残っている。けれども、仮に石破首相が少数与党に甘んじるという政治的賭けに出て、国民民主など中道政党が実験的にパーシャル提携に乗るのであれば、それはそれで意味のある政治的実験になると考えられる。

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