2024年12月7日(土)

新しい〝付加価値〟最前線

2024年11月29日

丼も、弁当もご飯のキーは「ふんわり」

 寿司用のシャリ玉ロボット以外、巻き寿司ロボット、いなり寿司ロボットと多角化する一方、寿司とならぶ柱として展開されているのがご飯盛り付けロボット「Fuwarica」。名前の通り、下に置いたトレイ、丼に対し、決まった量のお米をふんわり盛りつける。

Fuwaricaがカレー皿に盛り付ける瞬間

 ふんわり=米粒の間に隙間がないと、丼では具の汁が染み込みまないし、お弁当のご飯はべっちょりしてしまう。「Fuwarica」は装い方が高い評価を得ていて、有名な牛丼チェーンなどに、ほぼほぼ採用されている。

 寿司のシャリ玉もそうだが、お米はいろいろな繊細さがある。押し潰せば糊。通常でもそれなりの粘りがあり、しゃもじでご飯を装う際も、水に付ける。機械の基本操作「送る」ということだけでも、難しいことが分かる。それを理想的に装うのだから、こちらも苦労しただろうと容易に想像が付く。

海外市場にも求められる

 冒頭、海外で日本食レストランが伸びていることを書いたが、日本食で、お米は最重要食材の1つでもある。もともとお米は、亜熱帯の植物。しかし日本は、寒い地方でも栽培できるように品種改良して作付面積を増やし、同時に味も追求してきた。

 お米が大量に食べられていた時代は、あっさりめのお米が好まれた。銘柄でいうと「ササニシキ」。合わせるおかずは、味噌汁、焼き魚、野菜の煮付けなど、和の風味だ。

丼の場合。定食屋、牛丼屋で見慣れた装い

 戦後、日本人の身体向上のため洋食指導がなされ、和食はどんどん洋食にとって変わられた。当然、味は濃厚になる。そこで、出てきたのが、味の濃いお米「コシヒカリ」。海外でも評判がいいのは味が濃いからだと思われる。

 米指定ができると、米飯加工する側としては都合がよい。銘柄はともかく、ジャポニカ種の短粒米、インディカ種の長粒米、などのように物理的な違いがあると、ロボットがハンドリングできなくなる可能性があるからだ。

 和食が世界遺産になり、日本米が世界で和食の材料として、変え難いものであるというのは、鈴茂器工にとってまたとない順風なのだ。

 また「日本でも使われています。日本人も認めています」という謳い文句は、特にお米に馴染みのない地域、国から見ると大いに魅力的だ。しかも「炊飯器」は、中国人がインバウンドで買いすぎたために、中国政府が外貨調整のため購入を禁じたほどの性能を誇る。

 あとは丁寧に新鮮な魚を切って載せれば、寿司のできあがり。鈴茂器工で一式揃えるのが、海外では手取り早いのだ。すでに鈴茂器工は、90カ国に輸出している。


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