2024年6月25日(火)

Wedge REPORT

2014年2月20日

――子どもを増やす方法はありますか。

出口:フランスの真似をすればいいんです。

 フランスワインを飲む人が減り、パリにディズニーランドができ、英語の大学院ができ……1980年代から90年代にかけてフランス人は徹底的に議論し、フランス文化を守るべきだということが国民のコンセンサスになりました。文化は言葉。フランス語を話す、フランスで生まれる赤ちゃんを増やすしかない。そこででてきたのが「シラク3原則」です。

 1つめは、子どもを持っても新たな経済的負担が生じない、2つめは、無料の保育所を完備、3つめは育児休暇から女性が職場復帰する際、ずっと勤務していたものとみなして企業は受け入れる。この3原則と、婚外子を差別しないPACS(民事連帯契約)を、ワンセットの政策パッケージとして導入しました。1994年に1.66%まで下がった出生率は、10年あまりで2%にまで上昇しました。

 ここまでしないとフランス語を話す人は増えない。フランス語が滅んだらフランスの文化も滅んでいく。それは嫌だと。単に産めよ増やせよではなく、我々のフランスの文化を守るんだということが腹落ちしているから、こういうワンセットの政策がきちんとできる。

――日本の保守層には、子どもは家で母親が育てるべきだという論調があります。

出口:まったく理解できません。2010年の国勢調査によると、夫婦と子どもからなる世帯は全体の28%しかいない。ひとり親と子どもの世帯は9%。カップルで子どもを育ててそれが日本の伝統だという「標準世帯モデル」にこだわる議論は、現実を見ていません。古き良き高度成長期の夢を見ているとしか思えません。現在の標準世帯は31%をしめる「おひとりさま」です。

 人間は何のために生きているか。動物なのだから、次の世代のために人間は生きているはずです。子どもは社会の宝です。もちろん、産む産まないは100%女性の自由です。女性が決めればいい。その上で、子どもを産んだ女性は、働く上でハンディがあるわけですから、みんなでケアする。シングルとかダブルとか、あるいは法律婚か事実婚かを問わずに赤ちゃんを産んだ女性には「赤ちゃんを産んでくれてありがとう」と言って、みんなでケアするシステムが必要です。


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