まだ記憶に新しい昨年11月の大統領選挙では、不法移民が生み出す分断が争点の一つになった。国境管理問題をめぐり当初、移民に寛容な姿勢を示し、その後対応がぶれた副大統領のカマラ・ハリス氏と比較して、長期にわたって強硬な移民対策の必要性について一貫した主張を続けてきたトランプ氏が、結果的に国民の信頼を得たと著者は記す。
さらにバイデン大統領時代には、左派寄りの政策が目立ち、民主党内には左に寄りすぎた議員が増えたとも指摘し、こうした米国内政治への失望や批判もトランプ氏の再選をもたらす結果に結びついたと示す。
このほか、米中対立が現状ではなかなか収まりそうにないことや、分断と混乱のアメリカは他国に首を突っ込む力に乏しくなっていることも指摘する。こうした現在のアメリカに向き合っていくのはなかなか難しい。緻密な戦略に基づいて良好な関係を構築することが日本に求められていることを本書は教えてくれる。
戦略的な休日の過ごし方を考える
休みをとりやすい曜日の配列もあって、この年末年始に長い休暇を取っている方も多いだろう。『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(越川慎司著、クロスメディア・パブリッシング)は世界のエリートがどんな休み方をしているのかを紹介し、休み方を改革する方法を指南する。
筆者は休みをどう過ごすかは個人の自由であり、他人がとやかくいう話ではないと長らく思ってきたが、本書を読んで、その考えをあらためた。彼らはいい仕事をするために、心身のエネルギーをチャージする時間と位置付けているという。
自分も含め日本のビジネスパーソンは、土日を連続した休息のための休暇ととらえがちだが、本書を読むと世界のエリートは、土曜日は自分にとってのチャレンジのために使い、日曜日は瞑想や読書など精神的な成長と内省の機会と考えるという。ここには土日は「別々の独立した休日」という意識がある。
インドアとアウトドア、静と動を上手にミックスして、「アクティブ」(動的)でメリハリのある休日を過ごすことで、休養と教養の獲得を目指しています。
松下幸之助の言葉を引きつつ著者も記すように、本書には休み方の「核心」を突くアドバイスが詰まっている。よく考えて休暇を充実させることで人生をゆたかにできることが理解できる。