3年間で失ったもの
前線においてロシア軍は、1万人超の北朝鮮軍の兵士らの力も借りながら、ウクライナ軍に対し激しい戦闘をしかけ続けている。ロシア西部クルスク州におけるウクライナ軍の占領地は縮小を続け、ウクライナ東部の前線でも人命をいとわない攻勢をかけているとされ、軍事的には優位な立場を維持しているもようだ。
ただ、英BBCと独立系メディア「メドゥーサ」が、ロシア国内の年金情報や死者の埋葬情報などから分析した合同調査によれば、ロシア軍の死者数は昨年11月までに7万8000人規模に上ったもようだ。負傷者数はこの数倍にのぼるとみられ、ロシア側の損害も甚大だ。
この数字に、いわゆるドネツク、ルガンスク人民共和国といった、ウクライナ国内の親ロシア派勢力の数は含まれていない。このような状況を、ロシア側が永続することができないのも間違いない。
約3年におよぶ戦争で、ロシアは人命の損失や経済の著しいゆがみだけでなく、隣接する北欧諸国の新たなNATO加盟や軍装備の消耗、シリアのアサド政権崩壊によるアフリカ権益の喪失など、厳しい損失を被った。仮にトランプ氏の間で何らかの合意がなされ、一時的な停戦が実現したとしても、これらの事実に国民が目を向ければ、プーチン政権の権威の低下は避けられない。