2025年1月16日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年1月16日

 12月19日付のBBCのジョラーニ指導者のインタビューで同指導者は、女性に対してヒジャブの着用を強要するかどうかについては回答しなかった。HTSが中心となったシリアの統治については危うさを感じる。

うごめく関係各国

 また、フリードマンは今回のシリアの政変が、「アサド政権を国内の反政府勢力が倒した」と賞賛しているが、HTSのスポンサーが隣国トルコであるのは明らかなことであり、今回の政変は決して民衆の蜂起によるものではない。今後、トルコが支援するHTS等のイスラム原理主義勢力、米軍が後ろ盾となっているクルド人の分離独立派(ただし、第1次トランプ政権は米軍を北部のクルド人地域から撤退させたので、次期トランプ政権がクルド人を完全に見捨てる可能性もある)、さらに、今後、他の勢力からの報復が懸念されるアラウィ派とアサド政権に協力したキリスト教徒勢力の間で衝突が起きる可能性は高い。

 さらに、シリアにイスラム原理主義政権が出来てイスラエルの脅威となることを懸念してイスラエルは早々とシリア領内に拠点を構築しており、依然として空軍基地等を確保しているロシアやイランも完全にシリアを諦めるとは思われず、国外勢力の干渉も続こう。さらに、シリアでの混乱が続けば、脆弱な隣国イラクも大きな影響を受けよう。

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