2025年1月13日(月)

食の「危険」情報の真実

2025年1月13日

テクノロジーを嫌うのではなく、冷静に判断を

 そもそも農薬や化学肥料を必要最小限にしたいのは生産者も消費者も同じである。その一方で「消費者は農薬を嫌っている」という前提が商品の差別化としての影響を減らしつつあることが先のアンケート調査の推移から見えてくる。消費者も少子高齢化、耕作放棄地の増大、低い食料自給率など、食料の安定供給を脅かす障壁に対して、農薬に代表されるようなテクノロジーをもっと前向きにとらえていくべきではないだろうか。

 生産者は、「生協版GAP」に取り組むことで、生産者として守るべきルールや施肥、防除の記録が残り、栽培工程管理を自己点検できるようになる。「農薬の使用回数を減らすことにこだわるのではなく、農薬の適正使用こそが安全で品質のよい作物を収穫するために重要」とコープこうべの担当者は話す。フードプランは産地指定なので生産者と消費者(組合員・生協職員)が交流することで農薬の「量」ではない食の安全を担保できるとも言える。

 作る人は食べる人を想い、食べる人は作る人の苦労を知り感謝をして応援している。生産現場を知らない消費者が増える中、産地との交流は食の安全を学ぶ貴重なフィールドになっている。

 埼玉県深谷市では市長が「農家とスマート農業・アグリテック企業のマッチングを図る深谷 DEEP VALLEY」という提言をしている。この中で、人が行ってきた除草・収穫作業からの解放、品種改良・収量の拡大などへの最新のテクノロジーの導入が語られている。

 農薬においても、自然・天然嗜好を否定するのでなく、またテクノロジーを嫌うのでなく、総合的に考えることの重要性を生産者、事業者、消費者で共有していきたい。

農業にもっと多様性を! 価値を生み出す先駆者たち▶アマゾン楽天ブックスhonto
Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る