レビットは22年、ニューハンプシャー州第1選挙区の下院議員選挙に出馬することを表明し、予備選で勝ち抜いたものの最終的に民主党現職のクリス・パパス氏に敗れた。レビットは、バイデン大統領と議会民主党がトランプ政権の政策を撤回しているのを見て、下院議員選挙への立候補を決意したと語っている。
レビットは24年の大統領選に加わる前に、MAGA Inc.(トランプを支持するsuper PAC)のスポークスパーソンとして働いた。大統領選では、報道官として、メディアと闘う役割を担った。トランプの選挙集会に同行しただけでなく、マンハッタンでの出廷にも同行しているほど、彼女はトランプを全面的に支えた。トランプに対する刑事事件を、バイデンからもたらされた「魔女狩り」であると言ったほどだ。
彼女はワーキングマザーの役割についても声高に語っている。24年7月13日、ペンシルベニア州バトラー近郊での選挙集会中に、トランプへの暗殺未遂事件が起きたが、その3日前にレビットは男の子を出産し、ニコラスと名付けた。彼女の夫はニコラス・リッチオといい、無一文の貧困から不動産ビジネスで大成功した億万長者だ。つまり、夫と同じ名前を息子に付けたのである。年齢も彼女の30歳も年上である。レビットはすぐに仕事に復帰したが、その経験をワーキングマザーとして、クレイジーと同時にとてもやりがいのあるものだと語った。
彼女のトランプに対する献身的な働きぶりとこれまでの行動をみると、彼女がホワイトハウス報道官に抜擢されたことは、当然のことであろう。
ややこしいMAGA派の人々
信頼関係をどう構築するか?
日本政府は、大統領候補がハリス氏に代わった後でも、トランプが勝利するだろうと予測していた。「もしトラ」に備え、トランプ陣営とのネットワーク構築に腐心してきたが、肝心のMAGA派の中核との関係は十分とは言えない。
この人的ネットワークを築くには、どうしたらいいのか。スパイが中心人物に接近するのと同様、まず中核の人物を特定し、同心円の外側から中心に向かって進むように、計画的にネットワークを築いていく方法が有効だ。中心人物をつかむことで、さらなる広がりが生まれるからだ。
米国人と真の信頼関係を築くには、「力」は不可欠である。米国人は「力」を信奉する。力とは単なる経済力や軍事力ではない。米国の国益にとって「日本が不可欠な存在である」という力を持っているかどうかだ。日本の総合力と言っていい。
また、米国人は幼い頃から、自分の意見を相手にぶつけることに慣れており、日本人から見ると、きつい言葉でのキャッチボールも厭わない。米国人の懐に入っていくためには、唯々諾々と相手の主張を受け入れるのではなく、日本人も日本の国益を踏まえて言うべきことをしっかり言うことが重要である。ただし、その時に必要なことは、米国と決定的な対立には至らない冷静さと日本の主張を貫く粘り強さである。特に、MAGA派の人物との関係を構築するうえでこの点は、最低限心得ておかなければならない。
