2025年3月19日(水)

Wedge OPINION

2025年1月21日

 多く有権者には綱領がなければ、何を目指す政党、団体なのか、判断がつかない。他党から見ても、政策論争をしようにも、基本方針を示していないから、議論が成り立つまい。都知事選での躍進要因がSNSだったとしても、ムードや印象で投票する有権者だけをターゲットにしているとすれば、邪道だろう。

 2期8年の任期制限にしても、理解されることもあろうが、同時に都議会は「職業訓練」の場かという批判もでてくるだろう。石丸氏は「人材を〝輸出〟していけるようなシステムも作ることができれば」と語っているが、都政に精通したころで〝転職〟(石丸氏)されるのでは、都議会の活性化、発展は望めまい。他党との掛け持ちを認めるというが、双方に籍を置く議員の場合、もう一方が3選以上を認めた場合の調整はどうするのか。

 既成政治家による単なる政界再編ではなく、新鮮な人材による新党結成という努力は評価できるとしても、公約が各議員任せというのでは、どのようにして党の結束を保つのか。国政レベルでは、2009年の改正臓器移植法など、それぞれの倫理観、人生観に関する問題で、各党が党議拘束を解いた例はあるが、どの条例案の採決においても所属各議員がそれぞれ異なる対応をとるというのでは、存在意義を失うだろう。

少なくない「期待しない」との反応

 こうした事情を考慮すれば、石丸新党の前途は、必ずしも洋々たるものとはいえないが、東京都議選は、複数の定数区もある中選挙区制であり、新党の獲得議席は数議席から場合によっては10を超える(定数127)可能性もあるとの見方もなされている。

 都議会第一党の自民党は、国政レベルと同様、パーティ―収入をめぐる裏金問題で揺れ、政治団体としての解散を決めるなど、夏の都議選での苦戦がささやかれている。 

 「政治屋一掃」を掲げる「再生の道」は、都政だけでなく、将来、国政の場でも影響力を維持できるのか。それとも過去の一部新党のようにあだ花で終わるのか。

 朝日新聞が石丸会見の後、1月18、19日に行った世論調査では、「新党に期待する」という人は、全体で36%、「期待しない」は50%にのぼった。SNSを重視する層にかぎってみても、「期待」は51%にとどまり、「期待しない」も42%だった。

 新党にとってはやや、出鼻をくじかれた格好だろう。新党の成否を占うには、まだしばらく時間が必要なようだ。

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