小池知事は冷淡、維新は大歓迎
小池百合子都知事は、石丸新党構想が明らかになっていた1月10日の定例会見で「都知事選の時も多くの候補者が出た。これからどうなるのか、いろいろな動きが出てくると思う。(新党などは)それぞれが考えるということだ」と、冷ややかなコメントをしただけだった。
議席を奪われる可能性のある公明党の岡本三成政調会長(都本部代表)は「選挙においては脅威だ」としながらも「都民に様々な選択肢が出てくるので歓迎しながら議論したい」(NHK NEWSWEB)と、複雑な思いをのぞかせる。
自民党の井上信治元万博担当相(都連会長)も「都知事選であれだけの票を得たのだから一定の影響力はある。政策論争が活発になるのはいいことだ」(同)と表向き歓迎の一方で、警戒感も示した。
一方、石丸氏が連携の可能性に言及した国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止中)は「全体像がよくわからない。もう少し見極めたい」と慎重な態度をみせている。
歓迎するのは日本維新の会だ。共同代表の吉村洋文大阪府知事は「〝政治屋〟の一掃、多選を禁止は新しい地方政治の形であり、近いところから連携を考えていきたい」と前向きな見解を示した。
武器はSNS活用
新党党首の石丸氏は42歳。銀行勤務を経て、2020年に郷里の安芸高田市長に初当選、1期途中に辞職し、昨年7月の都知事選に出馬した。
唐突な出馬で、東京都にゆかりがなかったことから、当初は「泡沫」とささやかれてが、ふたを開けてみれば、小池知事(291万票)に対して165万票を獲得し、立憲民主党推薦の元特命担当相の蓮舫氏(128万票)を凌いで2位につけた。
躍進の原動力はSNSを徹底的に活用して若年層を中心に支持を広げた。動画の注目部分を切り抜くボランティア要員5000人を動員、一部動画投稿サイトだけで閲覧数は6500万回にのぼったといわれる。
綱領、政策なくしてどう支持広げる
〝石丸新党〟についてはいくつかの特異点が指摘される。多くの国民が感じるのは、綱領、政策をもたないことへの疑問だろう。
各候補者の見識に任せ、有権者は、それをみて投票してほしいということらしい。有権者は最後には個々の政策、候補者本位で投票するとしても、「保守か、リベラルか」など基本方針、政策で支持政党を決めるのが普通だろう。