2025年2月11日(火)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2025年1月28日

理解不足TAC(漁獲可能量)の意味

 今年(25年)ブリの漁獲枠が漁業法の流れで設定されました。これ自体はとても良いことです。しかしながら問題はその中身です。ブリのTACは10.1万トンと、漁獲量8万トン(ブリ類・23年)とほぼ同じです。

北海道で水揚げされたブリ(筆者提供)

 本来はもっと減らして親魚量を増やすのが正論です。極端に大きすぎないという点ではまだ良いのかもしれません。ただし、後述する成功している国々の効果が出ているTAC設定は、もっと少なくかつ厳格に設定されています。

 日本のTAC魚種の消化率は、大半が上の表の通り、サンマの21%、スルメイカの20%をはじめ非常に低くなっています。これでは乱獲になってしまうことが避けられず、漁獲枠としての効果はありません。一方で、日本が多くを輸入しているノルウェーサバやタラコの原料になる北米のスケトウダラなどは、漁獲枠の消化率100%が当たり前で、同じTACでも似て非なるものです。

 毎年ほぼ100%消化されるのは、実際に漁獲できる数量より「かなり」少なく設定されているためです。このため漁業者はサバでいえば脂がのった秋~冬に小型を避けて漁獲しますし、スケトウダラで言えば、タラコを持つ産卵期を主体にして漁獲します(産卵期以外も漁獲するようシーズンを分けるルールが設定されている)。

 他にも例を挙げれば枚挙に暇がありませんが、漁獲枠というのは、基本的に漁獲枠=漁獲量であり、かつ大型の魚を価値が高い時期に狙うというのが当たり前です。

 もっとも、大西洋でもアジやアカウオ(イルミンガー海域)ではそれができなかったため、資源をつぶしてしまった失敗例があります。これらは例外ですが、逆に日本の場合はクロマグロを除きすべてその失敗例に当てはまってしまっています。

 時間の経過とともに、現在の我が国の漁獲枠無しや大きすぎる設定が大失敗であり、なぜTACにさえ反対してしまったのか、となります。なおこれは、漁業者に非があるわけではありません。問題は、これまでの誤った情報と資源管理制度の中身にあります。


新着記事

»もっと見る