一方トランプ勝利に貢献したであろうジョー・ローガンのポッドキャスト(アップルやSpotifyなどで配信)のリスナーは2000万とされる。英国の人気メディア・パーソナリティ、ピアス・モーガンの番組は最大2000万が視聴し、トランプを含め政治家からスポーツ選手まであらゆる著名人が競ってインタビューを受ける。
そのモーガンは、これからの発信や人的交流、議論の場はテレビやラジオではなくデジタル世界と見極め、マードックのNews UKとの契約を変更し、自身のブランドを独立させ、ポッドキャストなどデジタル媒体に個人資産もつぎ込むと発表し話題となっている。同氏のテレビやポッドキャストの視聴者の半分はアメリカ人である。
同氏によれば昨年の米大統領選挙の結果や分析をYouTubeで見た人の数ははじめてケーブルやテレビ報道番組を超え、YouTube利用者とデジタル配信をするストリーマーがトランプに勝利をもたらした。
「2024年メディアで最も影響力があった人物」の第1位はマスク、2位はジョー・ローガン、モーガンは15位に入っている。
言論ルールを決めるのは
デジタルメディアにはいわゆる伝統的メディアのようなチェック機能がないだけでなく、運営者がルールだけでなくアルゴリズムを操作することで流れる情報やコメント、その優先度を決められることである。Xの場合マスクがツイッターを買収した際にトランプのアカウントが復活し、マスクがトランプを支援するようになってからはMAGA派、白人至上主義の反トランプとみなす人々への誹謗中傷が圧倒するようになった。トランプが勝利してからは、マイノリティへの差別的発言が堂々とできると喜ぶ人々もいる。
欧州連合(EU)がXに推薦アルゴリズム関連資料を要請し、同時に今後アルゴリズムの変化に影響を及ぼしうる情報の削除を禁止する継続命令を下したが、これはマスクがX上で何の規制もなく自由にいかなる発言もでき、またXで一方的な見解が助長されているのを取り締まるためである。マスクはドイツの諜報機関が極右政党と指定しているドイツのための選択肢(AfD)がドイツを経済的文化的崩壊から救うと支持を表明したり、スターマー英首相を非難し解散総選挙を求めたりしている。