2025年2月14日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年2月5日

 2025年1月15日付ニューヨーク・タイムズ紙は、「ルビオの上院公聴会から分かること」との記事を掲載し、同日上院で行われたトランプ第2期政権の国務長官となったルビオ氏の上院議員時代の公聴会の模様を解説している。

ルビオ国務長官はトランプ大統領とどこが異なるのか(dvids)

 国務長官候補だったルビオ上院議員は上院公聴会で歓迎された。彼は長年外交委員会や情報委員会に属し、外交問題に関わってきた事で知られている。民主党シャヒーン上院議員は冒頭、「貴議員は国務長官に必要な技能と十分な資格を持つと確信している」と述べた。公聴会に緊張は無く早期承認は確実だ。

 上院がルビオとトランプ政権に求めたのは、中国、ロシア、北朝鮮およびイランへの対処であったのは明白だ。ルビオ自身冒頭、この4カ国に言及し、これら諸国は混乱と不安定を広げ、テロ組織に資金を提供し、核戦争の脅しをかけていると述べた。ルビオはしばしば中国共産党を批判したが、トランプと異なり、これらの国を支配する権威主義者を褒めはしなかった。

 ルビオは、トランプ政権のウクライナ政策の目的は、ロシアが始めた戦争を終わらせることで、それにはウクライナとロシア双方の譲歩が必要だと述べた。

 ルビオはガザ戦争でのイスラエルの行動を支持しハマスが一般人を人間の盾に使っていると批判し、数千のほとんどが非戦闘員のガザのパレスチナ人の死亡を「戦争の悲惨さの一つ」とした。彼はイスラエルの安全への脅威に懸念を表明した。

 ルビオはトランプが批判する北大西洋条約機構(NATO)を「極めて重要な同盟」と呼び、トランプは同盟の支持者だと強調した。しかし彼は強力なNATOには欧州の国防費増額が必要とのトランプの主張を支持した。

 大統領の一方的NATO脱退を防ぐ法律を起案したルビオは、今もそれを支持していると述べた。トランプは資金分担が不十分な同盟国は防衛しないと示唆し、NATO脱退にも言及している。

 トランプ支持者にはルビオを信頼しない者もいる。前々回の選挙結果が不正だとのトランプの主張にも関わらずルビオが選挙結果確認に賛成したのを彼らは覚えている。

 彼らはルビオの過去の外交政策を危険なほど介入主義的と考えている。ルビオは長年にわたり安保政策のタカ派でしばしばトランプと違う立場をとってきた。しかし彼の考えは中道派の伝統に沿う。


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