ポール共和党上院議員は米国の海外積極介入を主張するルビオを批判してきた。ポールは米軍海外使用削減を強く主張し、経済制裁の成果にも懐疑的である。1月15日の公聴会でポールはルビオに対し、中国を常に批判する代りに協働する道はないかと質問した。彼はウクライナのNATO加盟を支持する欧米の多くの実務者にも疑問を呈した。
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ルビオはどこまで関与できるか
ルビオの公聴会の内容自体は、概ね安心させられるものだった。
特に、中国と台湾との関係である。他の記事によれば、中国の脅威に言及し、さらに重要なことに、台湾防衛に対する強い意思が表明されたようだ。
ルビオは中国のことを、「米国がこれまで対峙した中で最も強力でほとんど同レベルの力を持つ敵」と呼び、「21世紀を定義付ける脅威」と呼んでいる。
台湾については、「中国から台湾を防衛することは、米国にとって「必須(Critical)」」とし、「米国は、台湾を抑圧し、脅迫し、中国が望むように行動することを強要するためのあらゆる努力を拒否する」。そして、「中国は台湾にちょっかいを出すことを止める必要がある」としている。
同時に、「米国は1979年から一貫している『一つの中国政策』を継続する」とも発言している。これらの発言は、冒頭発言の中ではなく、その後の上院議員とのやり取りで出てきたものであり、ルビオの対台湾政策に対する関心の深さと準備の周到さが見て取れる。
しかし問題は、外交政策実施でトランプとルビオの関係がどうなるかであろう。第一に、核兵器の完全な放棄を確保しないままで北朝鮮と取引し、その中で在韓米軍の撤退等の直感的な政策をトランプが取ろうとした場合に、ルビオや他の閣僚がトランプを止めることが出来るかだ。
第二は、ガザの停戦交渉を見ても、トランプが外交問題毎に自分に近い「特使」を任命して、外交問題に自身が直接対応しようとしていることである。ガザの成功に味を占めて、この傾向は今後強まるかもしれない。そうなれば、バランスの取れたルビオの意見が十分外交政策に反映されず、トランプが決めた方針の「実施者」の地位に置かれることになるかもしれない。
