2025年4月27日(日)

古希バックパッカー海外放浪記

2025年3月9日

インドの不思議、なぜか食堂では野菜はほとんど出てこない!

 北インドのラダック州やインドの田舎では動物性蛋白質がないので、筆者の経験では毎日毎日小麦粉(ナンやチャパティなど)、豆とイモのカレー(現地ではダールと呼ばれている)を食べるしかない。不思議なことにラダック州やラジャスータン州の田舎の食堂で提供される料理に入っている野菜類は豆類とイモ類だけだった。

 北インドの聖地リシュケシにビートルズ一行が逗留してヨガ修行した時にジョン・レノンとヨーコを残して他のメンバー一行は単調な食事に我慢できず一週間で音を上げてイギリスに逃げ帰ったのは有名なエピソードである。

 南インドは農産物が豊かである。都市や大きな町の市場に行けば色とりどりの新鮮なバラエティー豊かな野菜・果物が山と積まれている。ところが南インドでも庶民の食堂や屋台で提供される料理に入っている野菜は非常に限定されている。玉ねぎ、人参、トマト以外はほとんどお目にかかれない。

 欧米人のバックパッカーは市場で果物を仕入れて栄養補給していた。欧米女子はしばしば市場で新鮮野菜を仕入れ野菜サラダを作って食べていた。こうした自衛手段を講じないと不健康なベジタリアン生活になってしまう。

 自衛手段の自炊のメニューは二択のみ『インド式袋めん・インド的パスタ』

バルカーラのホステルで自作したマカロニ。トマト、インゲンを炒めて茹で たマカロニを入れた。上に黄色く見えるのはスクランブルエッグ。ケララ州内専売ビー ルを飲みながら

 健康的セミ・ベジタリアン生活実践のために共同キッチンのあるホステルでは1日に1回または2回自炊した。ホステルがあるようなリゾートの村はそもそも店がほとんどない。村で一軒か二軒しかない雑貨屋でインド式即席ラーメン(米国マギー社が現地生産)またはインド製パスタ(ペンネかマカロニしかない)と野菜と鶏卵を仕入れる。

 鶏卵は常温で店に置かれているので鮮度のチェックは必須。野菜は日持ちしないので店にある野菜は種類が限られる。筆者の経験ではそうした雑貨屋で売っているのは通常数種類だけ。人参、玉葱、トマト、ジャガイモがそろうことは珍しい。オクラ、カリフラワー、ピーマン、インゲンはそれぞれ一度か二度しか見たことがない。

短命原因は食生活に起因する糖尿病とカースト制度由来の運動不足

 国立大学病院のベテラン医師の言葉を思い出した。曰く「インドの食生活は極端に炭水化物が多く、食用油、塩分を多用する。しかもアイスクリーム、お菓子、ケーキ、コーラ、ジュースなど甘いものが大好きで大量の砂糖を摂取している。食生活習慣が糖尿病と高血圧の温床となっている。統計上は死因に心臓病とか循環器系疾患とか分類されているが病死の大半は食生活が根本原因である」

 筆者の個人的見解では食生活のみならずカースト制度の影響で下層カースト以外の人間は極端に体を動かさないという生活習慣も主要原因であろう。例えば商店では売子は忙しく動き回るが店主や支配人はレジの前に坐ったまま終日不動である。女性も同様で女主人は使用人に指図するだけで体を動かさない。

 カーストでは職業分類が細分化されて自分の仕事の領域外には踏み込まないことがルールである。筆者の想うところでは下層階級以外のインド人は少しでも自分が身分の高い人間であることを示すために体を動かさないことが生来の習慣になっているのではないか。

 その影響であろうか都市でもジョギングする人をほとんど見かけない。スポーツをしているのは若者や一部の富裕層だけである。その結果下層階級を除くインド人の大半はおなかポッコリおじさん、サリーからお肉のはみ出たおばさんとなっている。

 筆者はインド人の短命の真因はこうした“2つのヒンズー的生活習慣”であると思量するがいかがであろうか。

ポンディシェリーの裏通りで放し飼いされている山羊。これじゃゴミを漁っ て腹の足しをするのは当然である

以上 次回に続く

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