2025年3月18日(火)

特集:食料危機の正体

2025年3月17日

国に頼った農家の末路

 なぜ、農家には自主性が必要なのか。横田さんは研修で滞在した日系ボリビア人の青年農家の姿勢を見て、その必要性を改めて感じたそうだ。

 「そもそも、ボリビアでは補助金がないので、農家は国をあてにしていません。軽油がなく、コンバインが動かないということもしょっちゅうあるそうです。それでも自分たちで何とかするという気概がありました。日本の飼料用米の話をすると、彼らは『意味がわからない』という反応でした。当然ですね。

 一方、イタリアのコメ農家と意見交換した時のことです。ミャンマーからの輸入米で経営が圧迫されている彼らは『政府に訴えるしかない』と、日本の農家と変わらない反応を示していました。その意味で、直接支払いにせよ、価格維持政策にせよ、農政に依存すればするほど、国頼みになるという構図はどの国の農家でも変わらないのかもしれません」

 そんな横田さんだが、取材前、令和のコメ騒動に伴う米価高騰で大きな利益を得ているのではないかとうがった見方をしていたが、事はそう単純ではなかった。

 「当初は10キロ・3800円で販売していました。それで、利益は出ますから。ところが、スーパーに行くと、便乗値上げなのか、7000円で売っている。これには驚きました。だから、私たちのコメがあっという間に完売し、これでは在庫が尽きてしまう。そうすると、うちのコメを購入して下さっていた常連のお客様が買えなくなるので、仕方なく値上げしました」

 ただ、話はそれで終わらない。

※こちらの記事の全文は月刊誌「Wedge」2025年3月号「食料危機の正体 日本の農業はもっと強くできる」で見ることができます。

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Wedge 2025年3月号より
食料危機の正体 日本の農業はもっと強くできる
食料危機の正体 日本の農業はもっと強くできる

ロシアのウクライナ侵攻により、世界的に「食料危機」が懸念されるようになった。それに呼応するように、日本政府や農林水産省、JA農協などは食料危機をあおり、多くの国民は戸惑っている。確かに、担い手の減少や農産物の価格高騰、肥料・飼料の不足など、日本の農業には課題が山積みだ。しかし、新しい技術や発想で未来を切り拓こうという動きもある。日本の農業を強化し、真の「食料安全保障」を実現する方法を提示する。


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