国に頼った農家の末路
なぜ、農家には自主性が必要なのか。横田さんは研修で滞在した日系ボリビア人の青年農家の姿勢を見て、その必要性を改めて感じたそうだ。
「そもそも、ボリビアでは補助金がないので、農家は国をあてにしていません。軽油がなく、コンバインが動かないということもしょっちゅうあるそうです。それでも自分たちで何とかするという気概がありました。日本の飼料用米の話をすると、彼らは『意味がわからない』という反応でした。当然ですね。
一方、イタリアのコメ農家と意見交換した時のことです。ミャンマーからの輸入米で経営が圧迫されている彼らは『政府に訴えるしかない』と、日本の農家と変わらない反応を示していました。その意味で、直接支払いにせよ、価格維持政策にせよ、農政に依存すればするほど、国頼みになるという構図はどの国の農家でも変わらないのかもしれません」
そんな横田さんだが、取材前、令和のコメ騒動に伴う米価高騰で大きな利益を得ているのではないかとうがった見方をしていたが、事はそう単純ではなかった。
「当初は10キロ・3800円で販売していました。それで、利益は出ますから。ところが、スーパーに行くと、便乗値上げなのか、7000円で売っている。これには驚きました。だから、私たちのコメがあっという間に完売し、これでは在庫が尽きてしまう。そうすると、うちのコメを購入して下さっていた常連のお客様が買えなくなるので、仕方なく値上げしました」
ただ、話はそれで終わらない。
※こちらの記事の全文は月刊誌「Wedge」2025年3月号「食料危機の正体 日本の農業はもっと強くできる」で見ることができます。