海外ではAIや機械学習を活用してホテルの需要予測のみでなく、各顧客のノーショー確率を予測するモデルも研究されている(Zhai, Q., Tian, Y., Luo, J., & Zhou, J. (2023). Hotel overbooking based on no-show probability forecasts. Computers & Industrial Engineering, 180, 109226.、Henriques, H., & Pereira, L. N. (2024). Hotel demand forecasting models and methods using artificial intelligence: A systematic literature review. Tourism & Management Studies, 20(3), 39-51.)。海外のOTAや外資系大手ホテルチェーンを中心に対策はより洗練されているのだが、時にユーザーの予約リテラシーとのギャップが問題になることもある。
例えば、多くのOTAはある程度の期間は無料キャンセル可能にしている場合が多いのだが、時折比較的安価だがキャンセル不可の選択肢を提供していることがある。その旨は書いてはあるのだが、キャンセル可の仕組みとほとんどのプロセスが似ているのでキャンセル不可に気が付かずに予約する顧客が一定数存在するようである。実は筆者も経験がある。
必要となる業界全体での意識改革
ここまで見てきたように、ドタキャン、ノーショー等の対応策自体は種々あるのだが、先述したように、事業者側がそうした対応を行う体制にない、過去の慣習から強いキャンセル対応に踏み切れないといった理由から現状は二極化している。キャンセル対応ができていない事業者はますます体制が脆弱になるという悪循環にもなり兼ねない。
ノーショー、ドタキャン問題は、業界全体の収益構造に深刻な影響を与えるもので、サービス業全体が対応する仕組みを整えることが持続的な成長のために不可欠だ。知見の共有と事業者への意識改革も含めたトレーニングが必要となるだろう。
(本稿の執筆では月刊HOTERES フェローエディターの飯野耀子氏の協力をいただいたことを感謝する。)
