2025年4月28日(月)

経済の常識 VS 政策の非常識

2025年3月10日

ヨーロッパはもっと力を尽くすべき

 ただし、筆者には、トランプ氏が「ウクライナはヨーロッパが助ければ良い」というのも分かる部分がある。「ヨーロッパの脅威なんだから、ヨーロッパで面倒見ろ」とトランプ氏が主張するのはもっともとも言える側面もありそうだ。

 図1は、世界各国の対ウクライナ援助額を示したものである。原資料はユーロ建てであるが、1ユーロ=1.04ドルでドルに換算している。

 アメリカの援助額は1187億ドル(1ドル150円として17.8兆円)で、アメリカを除く全世界の援助額の75%になる。ドイツは180億ドル、イギリスは154億ドル、日本は110億ドル、フランス51億ドル、イタリア24億ドルである。

 フランスの援助額は日本より小さい(ただし、日本の援助はほとんどが融資)。もちろん、欧州連合(EU)機関の援助もヨーロッパの国々が拠出している訳だが、日本人としても、フランスやイタリアはもっと出して欲しいと言いたくなるのではないか。もちろん、ヨーロッパ側からすれば、「日本ももっと出して」言いたくなるかもしれない。ただし、カナダが86億ドル援助していることを見ると、日本は応分の援助をしているだけかもしれない。

ヨーロッパには十分な国力がある

 ヨーロッパの問題と言われても、それに対処するだけの国力があるのかという問題がある。しかし、図2で、国力の指標と見なせる購買力平価国内総生産(GDP)を見ると、ドイツだけでロシアの87%ある。独英仏伊を合計するとロシアの2.6倍になる。

 ウクライナに援助しているヨーロッパの国々のGDPを合計するとロシアの4.7倍になる。ヨーロッパには、ロシアに対抗できるだけの力が十分にある。


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