トランプが新たな関税――台湾の半導体にも課すと脅している――によって世界中で懸念と外交的緊張を引き起こす一方、米国務省は新たなファクトシートの中で台湾を「高度に進んだ経済、グローバルな製造サプライチェーンの重要部分」と位置づけ、テクノロジー・プロジェクトにおける米台協力を強調する文言も付け加えている。ここからは、米台パートナーシップを容認・支持する姿勢が窺える。
頼清徳総統は台湾の自衛力を高めるべく国防費を国内総生産(GDP)の3%に引き上げると発表、さらに、米国や同志国と協力して「非共産主義」サプライチェーンを築き、グローバルな安全保障と繁栄に貢献すると訴えた。
テクノロジー力を有し、地理的に重要な第一列島線に位置する台湾は、「チェスの駒ではなく、プレイヤーになる」よう努めなければならない。
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注目すべき「ファクトシート」の変化
台湾では米国が中国との対立のために、台湾を「駒」として利用するだけで、そのうち台湾を見捨てるのではないか、との「疑米論」が根強く存在する。これには、就任前のトランプ大統領の発言が強く影響しているようだ。同人は「台湾は我々の半導体ビジネスを奪った」、「台湾はアメリカに防衛費を支払うべきだ」と台湾について消極的発言を行った。
ここに取り上げたTaipei Timesの社説は頼清徳・民進党政権を擁護するとの立場から書かれたものであり、平和で安定した台湾海峡を維持するため、台湾としては米中対立の「駒」としてではなく、主体的に動くべきだとするものである。もっともな考え方であるが、それを実現することは決してそれほど容易でないことは言うまでもない。
最近、トランプ政権下で米国国務省はこれまでの公的出版物である「ファクトシート」(「ホームページ」に相当する)を新たに公開した。その中で、台湾との関係につき、これまでの表現である「米国は台湾独立を支持しない」と書かれていた部分を削除した。さらに、「国際機関への台湾参加を支持する」との新しい表現を書き加えた。
興味深いことには、米国としては、中国の威圧・攻勢、サイバー攻撃、違法な貿易政策などを阻止するために尽力する、と書き込んだ。トランプ政権になってから、「中国は米国の利益にとって、最大の脅威(the biggest threat)」というのが、「ファクトシート」の表現であり、これらの変更には驚かされる。