2025年3月26日(水)

Wedge OPINION

2025年3月11日

 さらに法定研修として中堅教員研修もあるし、何より最大の研修と言われる数年ごとの人事異動システムがあるため、様々な学校で切磋琢磨することにより力量を上げることができる。

 一方、私立は主に徴収した自主財源で運営せねばならず、お金のかかる教員研修には消極的である。授業料を徴収している手前、全職員が参加する授業研修等もやりにくい。

 独自に研修制度を敷いている学校もあるが、一般的には地域の私学協会などが単発で行う研修に持ち回りで参加するのが精一杯であることは否めない。人事異動もない。

 したがって自校で人材育成に手間暇かけるよりも優秀な引き抜き合戦に頼ることになる。人材育成という意味では公立に大きな分があると言えよう。

高校無償化で私立は本来の特色を取り戻せるか

 こうして見ると公立学校と私立学校にはそれぞれ特色や長所短所があるが、筆者は日本の画一的な学校教育における私立学校の役割は大きいと考える。今回の高校無償化政策によりたしかに公立離れが進むかもしれない。だが多くの生徒が公立と私立のどちらも受験しやすくなることで私立学校経営に安定をもたらす可能性に期待したい。

 過度な生徒獲得競争を緩和し、私立学校が本来の独自性・創造性を取り戻し、日本の学校教育に新たな息吹を吹き込んでくれることを願う。ひいてはそれが閉塞的な公教育を活況させることにも繋がるはずだ。

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