2025年1月26日(日)

Wedge OPINION

2024年12月6日

 公立学校教員の給料の在り方をめぐる2025年度予算編成において、文部科学省と財務省の対立が大きな話題になっている。

 文科省は残業代の代わりに一律支給される「教職調整額」の大幅増を要求した。一方、財務省は働き方改革の成果を上げることが先決だとして、残業を20時間以内にすることを条件にいわゆる残業手当支給に初めて言及したのだ。

文部科学省の主張は〝正論〟なのか(Korekore/gettyimages)

 そもそも文部科学省と財務省はずっと犬猿の仲であり、対立は今に始まったことではない。それがここまで話題になっているのは、「今までになく強硬な文部科学省」VS.「奇想天外な提案をしてきた財務省」という新しい構図がニュースバリューになったのだろう。

 調整額は教員給与特別措置法(給特法)により、1996年度の平均残業時間の月8時間を算出根拠として現在基本給の4%が支給されている。しかし、50年以上経った22年度の文科省勤務実態調査(速報値)をもとに算出すると、例えば中学校教諭の残業時間は約60時間であり、残業代が8時間分では実態に全くそぐわない。こうした現状とかけ離れた実態から、文科省は大胆に13%まで調整額の増額を求めたのである。

 そこへこれまでこの問題をことごとく無視してきた財務省が、働き方改革で成果を上げることを条件に、自ら残業手当の支給を示唆したのである。阿部俊子文科相は定数改善も行わずに働き方改革の成果だけを求める財務省に怒りを示した。さらに全日本中学校長会など教育関係23団体が財務省案に「非現実的だ」と緊急声明を出す展開になった。

 しかし、と筆者は思う。彼らは財務省を糾弾する資格があるのだろうか。


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