働き方改革なくして待遇改善はない
野川孝三氏(日本教育事務学会理事)によれば、13%は26時間分の超勤相当になるそうである。ならば、文科省は少なくとも教員の時間外在校時間を26時間に減らすことを大前提にしなければならないはずだ(「4%→13%に引き上げ?残業減が条件? 教員の処遇改善は難航必至」寺子屋朝日)。
しかし、財政制度分科会資料によれば、22年度教員勤務実態調査における時間外在校等時間はそれぞれ18年度の調査よりも小学校で8時間、中学校で3時間増加しているのだ。これでは文科省が言っていることには全く説得力が無い。
また、財務省資料にあるように現在教員が給料に大きな不満度があるわけではない。逆に言えばいくらお金をもらってもできない仕事を請け負わされていることが問題なのだ。
はたして文科省をはじめ自治体、そして学校管理職は働き方改革に十分に取り組んできたと本当に言えるのだろうか。
中学校の働き方改革の本丸は部活動改革である。先の文科省勤務実態調査で在校等時間の内訳を見ると、中学校教諭では「授業準備」が1時間15分なのに対して「部活動」が2時間6分である。
授業は教員の本務であるが、少なくとも部活動は教育課程上の活動ではなく法令上の義務はない。文科省の分類でも「必ずしも教師が担う必要のない業務」とされている。
それが本末転倒状態になっているのだ。このことにメスを入れないで働き方改革などできるはずがない。
しかし、文科省も各自治体もこの問題を避けてきた。いや、それどころか98年の学習指導要領の改訂により、クラブ活動を部活動で代替えできるようにしてからは教育課定上の位置づけが曖昧なまま、部活動の全員加入制が推奨されることになった(文教科学委員会調査室~問われている部活動の在り方~関 喜比古)。結果として顧問教員の負担は大きくなり学校の疲弊は広がるばかりとなった。