2025年3月18日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年3月17日

 米国が公にウクライナを見捨てれば、前線のウクライナ兵の士気は損なわれよう。ロシアは今もウクライナ側の防衛線を突破しようとしており、プーチンは多大の犠牲を払いながらも領土獲得を続けている。

 ウクライナが2014年当時の国境はおろか、22年当時の国境さえ取り戻せないことは誰もがわかっている。ではプーチンは何を諦めるというのか。

 プーチンは占領もしていないウクライナ領土を和平の代償として要求している。ロシアが停戦を求めるとすれば、一息ついて再武装し次の侵略の機会を待つためだ。

 トランプがこのことを苦い現実と見ているのは間違いないが、彼自身の政治的命運もウクライナの運命と結び付いている。ウクライナがロシアに負ければ、ウクライナはトランプにとって、バイデンのアフガニスタンになるだろう。米国民はトランプとゼレンスキーの外交的和解を応援すべきだ。

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ウクライナの命運はトランプ政権次第

 ウクライナ戦争の行方は、米国のウクライナへの軍事支援が引き続き続くか否かに大きく左右される。2月28日のホワイトハウスでのゼレンスキーとトランプの口論を受けて、ホワイトハウスは軍事支援の一時停止を指示しているが、その解除は早急になされる必要がある。

 さらに、その後、米国のウクライナに対する諜報支援も一時停止された。これも早急に解除されなければならない。

 上記の社説は、ゼレンスキーがXに投稿したメッセージを引用し、それをトランプが謝罪として受け入れ、事態をホワイトハウスでの口論の前の状況にすることが必要であると訴えている。時宜を得た良い社説であると評価できる。

 3月4日の連邦議会での施政方針演説でトランプは、ゼレンスキーから書簡を受け取ったこと、書簡には「和平に向けた交渉のテーブルにできるだけ速く着く準備が出来ている」「鉱物資源をめぐる合意に署名する用意がある」と書かれていたこと、を明らかにした上で、ゼレンスキーに感謝すると述べた。


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