2025年3月26日(水)

教養としての中東情勢

2025年3月21日

新たな汚職捜査のもみ消しか

 だが、ネタニヤフ首相が最も懸念しているのは国内治安機関「シャバク」のバー長官をめぐる解任かもしれない。首相は16日、長官とは信頼感が欠如しているとして解任の意向を発表した。しかし、長官はネタニヤフ氏の側近がカタールから資金提供を受けたとする汚職事件を捜査中で、もみ消しの解任ではないかとの批判が出ている。

 地元メディアなどによると、側近は首相の元スポークスマンのエリ・フェルドスタイン氏。カタールからの資金でイスラエルのジャーナリストに金を贈り、カタール寄りの記事を書かせた疑いがかかっているという。カタールのために設立された基金で働いているとの指摘もある。

 同氏は昨年11月、機密情報をリークし、国家安全保障上の脅威を与えたとして起訴されている。地元紙はネタニヤフ首相がフェルドスタイン氏とカタールの関係を知っていたのか、そうした関係を承認したのか、自身もカネの授受に関与していたのではないか、などと疑問を呈している。

 ガザではすでに4万9500人を超える住民らが犠牲になった。住民らはイスラエル軍の攻撃のたびに逃げまどい、苦しい避難生活の繰り返しだ。

 そうした中、「ガザを中東のリビエラにする」という非現実的なトランプ提案も聞こえなくなった。自らの政治的な生き残りのためにパレスチナ人の命を軽んじることはあってはなるまい。ネタニヤフ氏の「大博打」を歴史がどう刻むのか。

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