
世界各国の幸福度をランキングで示した、国連などによる「世界幸福度報告書」2025年版が20日に発表され、フィンランドが8年連続で1位となった。デンマーク、アイスランド、スウェーデンが続き、上位は北欧諸国が占めた。
専門家はフィンランドが選ばれた理由として、自然に容易にアクセスできることや、手厚い福祉制度をあげている。
フィンランドはほかの北欧諸国を抑えてトップを維持した。また、ラテンアメリカのコスタリカとメキシコが初めてトップ10入りを果たした。
イギリスとアメリカはそれぞれ、23位と24位に順位を落とした。アメリカは過去最低の順位となった。
日本は55位と、前年の51位から順位を下げた。
この調査では、見ず知らずの人は、人々が思うよりも約2倍親切であることも明らかになった。財布をわざと紛失し、戻ってきた財布の数を調べるとともに、財布が届けられると思う人の割合を調べて、見ず知らずの人に対する信頼度を計った。
戻ってくる財布の割合は、人々の想像よりも2倍近く高かった。世界中で行われたこの調査で、他者の親切心を信じることと、幸福度には、これまで考えられていた以上に密接なつながりがあることが明らかになった。
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の経済学者で、世界幸福度報告書の創刊編集者ジョン・F・ヘリウェル氏は、財布実験のデータから、「人々は、互いを気にかけていると感じる場所で暮らす方が幸せ」であることが分かったと述べた。
生活を10段階評価
第13回世界幸福度報告書は、国連が定めた国際幸福デー(3月20日)に合わせ、英オックスフォード大学のウェルビーイング研究所が発表した。
各国の人々に自分の生活を10段階で評価してもらい、その3年間の平均に基づいて順位をつけている。
フィンランドは10点満点中平均7.736点で、8年連続首位だった。2位のデンマークは7.521点だった。
専門家によると、コスタリカとメキシコの順位が上がったのは、家族の絆が影響しているという。
2025年版のトップ10は次の通り。
1. フィンランド
2. デンマーク
3. アイスランド
4. スウェーデン
5. オランダ
6. コスタリカ
7. ノルウェー
8. イスラエル
9. ルクセンブルク
10. メキシコ
世界幸福度報告書には、次の調査結果も記載されている。
・アメリカと一部の欧州諸国における、幸福度と社会的信頼の低下は、政治的分極化の拡大と方向性が関係している
・他者と一緒に食事をすることと、世界中のウェルビーイングには強いつながりがある
・世帯規模と幸福度には密接なつながりがある。メキシコと欧州では、4~5人暮らしが最も幸福度が高い
国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワークのジェフリー・D・サックス会長は、今回の調査結果で「幸福度は信頼度や優しさ、社会的つながりに根ざしている」ことが再確認されたと述べた。
「この重要な事実を積極的な行動に移し、世界中のコミュニティーで平和や礼節、ウェルビーイングを育めるかは、高潔な個人や市民としての私たちにかかっている」
オックスフォード大学のウェルビーイング研究所のヤン・エマニュエル・デ・ネーヴ所長は、「社会的孤立と政治的分極化のこの時代に、私たちは、人々を再びテーブルに着かせる方法を見つける必要がある。そうすることが、私たち個人と集団的なウェルビーイングにとって非常に重要だ」と述べた。