2025年12月5日(金)

プーチンのロシア

2025年4月17日

 2025年2月5日にモスクワへ到着した。どの場所かは判然としないが、ロシア国内で5日間の訓練を受けた後、4月4日にウクライナ領土内の戦闘地域へ派遣された。

 前線の部隊で語られる言葉は全てロシア語だったという。「全ての情報が隠されていたので、(ウクライナ領土内の)戦闘地域に到着したとき、初めてどこにいるかわかった」と述べた。

 1998年生まれのジャン・ジェニバオも会見で、「問題は全ての文書がロシア語だったことだ。(私たちとの)全てのコミュニケーションもロシア語だった」と話した。

 ジャンは中国では消防士として働いていた。当初は観光目的でロシアに入国したが、そのうち「お金を稼ぐ」ことに滞在目的が変わった。建設現場での仕事を紹介されたが、応じずに、ロシア軍への入隊と200万ルーブル(約340万円)の支払いをうたうネット上の広告に応募した。

 ジャンは20万ルーブル相当の「カード」を受け取ったという。しかし、この「カード」は使えず、「カード」のアプリをインストールした携帯電話もロシア人に奪われてしまったという。

 「カード」はロシア国内で使用できる「ミール決済システム」の専用カードとみられる。中国兵への報酬は全てカード内で支払われているという。つまり、報酬の使用はロシア国内に限られている可能性がある。

年代も任務もバラバラ

 ウクライナ情報当局は大量の中国人がロシア軍に加わっていることを裏付ける証拠をつかんでいる。ゼレンスキー氏は「中国人問題は深刻だ」とし、少なくとも155人の中国人がロシア軍に加わり、ウクライナ領内で戦っていると述べた。

 ウクライナメディアLB.uaが情報筋から得た情報によれば、中国人は昨年秋ごろからロシアの軍事訓練センターに到着し始めた。ロシア軍との契約はそれよりも半年以上前といい、早い者は2023年夏に傭兵としての契約を結んでいた。

 LB.uaは情報筋から得たとみられる13人の中国兵のそれぞれのパスポートと丸坊主で上半身裸の写真を電子版で公開している。最も若い者で19歳。20代、30代が多く、上半身に刺青をしている者もいる。

 中国兵はロシア軍の様々な部隊で任務しており、階級もバラバラ。機関銃手、偵察兵、小隊が乗る車の運転手、ドローンオペレーターなどの役割を担っている。

インフルエンサーによる〝勧誘〟

 こうした中国人は中国のSNSで公開されている兵士募集と高額報酬を約束する広告を通じて、ロシア軍と契約した可能性がある。

 様々なSNSですでに数十万回再生されている募集広告は、ロシア国内でロシア人を相手に入隊を呼び掛けている動画の中国翻訳版だ。ロシア人男性が仕事を辞めて戦地に赴く様子が映し出され、視聴者にこう呼びかける。

 「君はタフな男だ。彼らのようになろう!」

 中国人男性がこの文句に魅力を感じたようには思えないが、動画には6万元(約116万円)~20万元(390万円)の入隊時のボーナスと、月給1万8000元(35万円)が支払われると謳われており、失職するなど生活に困った中国人男性がロシア軍の実態も知らずに高額報酬につられて入隊したのではないか。


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