関税政策の対策にも
現在、トランプ大統領は、過激な関税政策を行っており、その結果、米国でインフレが再燃する可能性が非常に高いとみられているが、原油価格を引き下げることが出来れば、ある程度インフレをオフセット出来ると考えているようだ。
4月に石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど主要産油国で構成するOPEC+は、これまで続けていた減産の縮小を決定した。この決定はOPEC+のシェアの奪回が目的とされるがOPEC+の最有力国サウジアラビアの意向が大きな影響力を持つのは間違いない。しかし、ムハンマド皇太子自身がお金のかかるメガ・プロジェクトを進めており、油価を低下させる事については限界があろう。
5月のトランプ大統領訪問時に1兆ドル以上の対米投資が予定されている由だが、ムハンマド皇太子をくすぐって、金を引き出すつもりなのは当たり前だろう。また、現在のガザの状況では進展は到底望めないが、トランプ大統領は、引き続きイスラエルとサウジアラビアの国交正常化について関心があるのも間違いない。
サウジアラビアを取り巻く内外情勢だが、内政面では、上記の記事が批判しているように非民主的な専制政治と言えるが、アラブ諸国はいずれも似たような状況であり、内政が理由でサウド家の支配が近い将来に終わるとは思えない。周辺情勢については、サウジアラビアが一番望まないのはイランと米国・イスラエルの対立・緊張がエスカレートして行くことであろう。2019年には米・イランの緊張のあおりでサウジアラビアの油田が攻撃されている。

