国民の税金を使って安く買って、税金を使って減反して供給量を絞り、価格を釣り上げて高く売るのだから、消費者国民は税金を払った上にとんでもない高いコメを買わされているのだから目も当てられない。
新潟県のコメ輸出協議会が台湾に出向いて、日本米の輸出商談をした際、日本側が現在の国内事情を説明して25年産米の輸出価格の大幅値上げを要請すると、台湾側から「よく日本では暴動が起きませんね」と皮肉を言われたという。主要食糧が2倍の価格になっても暴動や騒乱が起きないのは日本ぐらいのものだろう。
25年産新米が出ても価格を下げない備蓄米の「買戻し条件」
備蓄米を売却しても価格が下がらない最大の要因は何と言っても「買戻し条件」が課せられていることだ。備蓄米の買い受け業者は買い受けた数量と同数を国に返さなくてはならない。
備蓄米の売却は計画通りに進むと61万トンになり、買い受け業者はこの数量を国に返納することになる。こうした取り決めがあるためこのまま行くと今秋収穫される25年産米は主食用米の価格が高くなることが避けられない。
実際、早々に全農各県本部は「最低保証価格」という表現で1俵2万円以上の概算金を生産者に示しており、この価格が最低ラインとなり、民間業者との集荷合戦が繰り広げられることになる。7年産でなく、複数年で返納するという見方もなされているが、返納することには変わりなく、主食用米の価格の下支え機能を発揮することになる。
大打撃を受けるコメ加工食品業界
25年産主食用米価格が下がらないことから深刻な影響を受ける業界がある。それは清酒や焼酎、米菓、味噌、米穀粉、包装もちなど伝統的なコメ加工食品業界だ。加工業界が使用する酒米やもち米、加工用米といった原料米の生産が大幅に減少すると予想されている。
加工原料米を生産していた生産者が価格の上昇している主食用米へ生産をシフトしていることが確実なためだ。原料米取扱業者からは、25年産の加工原料米は3割から5割減少するのではないかという見方も示されている。危機感を持ったコメ加工食品業界団体が農水省へ対策を講じるように要請しているものの、農水省からは具体的な対策は示されていない。
歪なコメ政策は国民に不必要な負担を背負わせている。それだけでなく、コメ関連事業者を顧みずに、中小業者の多いコメ加工食品業界は存続の危機に立たされている。
