2025年12月5日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年5月23日

 サウジアラビアは助けることに前向きと思われる。4月17日に国防相ハリド・ビン・サルマンがイランを訪問したが、97年以来最も高位の人物の訪問だった。

 サウジアラビアは戦争になることに神経質で、米国による取引を望んでいる。トランプは5月に湾岸3国の訪問を計画しているが、これら諸国の支援を求める機会となり得よう。

 同時に、トランプは如何なる取引にも懐疑的で軍事攻撃を選好するネタニヤフをうまく扱う必要がある。当面、トランプはネタニヤフを抑えつけるつもりのようである。しかし、交渉が何カ月も続くようだと、それは難しくなるかも知れない。

 イランとしては、トランプに対処するに抜け目のない戦略を選んだ。それは、トランプのビジネスの直感に訴えることである。

 アラグチは4月21日にカーネギー平和財団主催の核政策に関する会議で講演する予定だったが、直前にキャンセルされた。その後、彼はそのテキストをXに投稿した――イランは19基の原子力発電所を建設したいと思っているが、米国の企業も入札に招請されるだろうと彼は述べている。

 世界中で65基の原子力発電所が建設中である。19基を建設する機会は大きなご褒美である。

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イランの経済再建に関与

 イランと米国の3回目の交渉が4月26日オマーンで行われた。交渉の内容は明らかにされていないが、これまで以上に詳細で技術的な議論に踏み込んだということらしい。

 双方とも交渉を慎重ながらも積極的に評価している。なお、5月3日に予定されていた4回目の交渉は延期されたが、理由は定かでない。

 この記事は、どのような情報源に取材したものか分からないが、交渉に関わる主要な3つの問題を指摘して解説を試みるものである。

 第一は、イランのウラン濃縮活動である。イランは平和利用の権利を主張し、ウラン濃縮を禁ずる取引には応じられないとしているが、この立場は譲らないであろう。

 米国はどうするつもりかはっきりしないが、高濃縮ウランの平和利用の用途はないのであるから、イランが濃縮をJCPOAと同様3.67%を上限とすることに応じ、蓄積された60%などの高濃縮ウランを希釈しあるいは国外に搬出する措置に同意するのであれば、国際原子力機関(IAEA)の査察の徹底を条件に、一定のウラン濃縮は許容せざるを得ないであろう。


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