2025年12月5日(金)

モノ語り。

2025年6月7日

 パッケージでひと際目を引くのが「単衣シリーズ」です。

 「湯島界隈はかつて花柳街で着物を着た芸妓さんが歩いていたそうです。そこから着想したデザインです」

令和世代にとっては「新しい食べ物」

 いま、溝口さんが課題として取り組んでいるのは、若い世代に対して、かりんとうの認知度を向上させること。

ゆしま花月「かりんとう」 左から、「かりんとう丸缶(朱色)」、「かりんとう単衣」「まゆずみ単衣」

 「今の10~20代の人の中には、かりんとうを食べたことがないという人もいます。若者に、かりんとうを知ってもらおうと、ハロウィンのイベントや地元のフェスに参加しています。そこで活躍してくれているのが、DJ歴28年の従業員です。『子どもディスコ』といった形で踊った後に、かりんとうを食べてもらうと、反応は上々です」

 「かりんとうDJ RYO」こと、大石欣央さんの名刺には、レコードと、インスタグラム、ティックトックのQRコードがプリントされています。

 溝口さんは将来についてこう話します。

「私が80歳手前で、創業100周年になります。それに向けて既存のお客様を大事にしつつ、一方で既存の枠組みにはとらわれない『ネオ・かりんとう』にも挑戦していきたいです」

 昭和を知らない世代が、昭和に新しさを感じるように、かりんとうのような和菓子を知らない世代にとっては、新しい食べ物として感じられるのかもしれません。もちろん、かりんとう好きの方にも、間違いなくおススメの一品です。

左から著者、溝口さん、大石さん
ゆしま花月 東京都文京区湯島3丁目39-6 03-3831-9762
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Wedge 2025年6月号より
日本のコンテンツが世界へ羽ばたく時
日本のコンテンツが世界へ羽ばたく時

日本のマンガやアニメに向けられる視線が熱くなっている。世界での熱狂を背に、政府は「新たなクールジャパン戦略」として、コンテンツ産業を中核にすえた〝リブート(再起動)版〟を示した。ただ、人々を魅了するコンテンツはお金をかければ生まれるものではない。今度こそ「基幹産業」として飛躍するために、必要な戦略を探ろう。


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